オイラー的記述法とラグランジュ的記述法

流体の記述法には、オイラー的記述法とラグランジュ的記述法の2つがあります。

ここでは、これらの記述法と関係性について説明します。

オイラー的記述法

オイラー的記述法とは流体を第三者の立場にたって観察する方法のことです。

この方法により、流体の状態変数は固定座標系の空間変数x,y,zと時間変数tにより

  1. 速度:u(x,y,z,t),v(x,y,z,t),w(x,y,z,t)
  2. 圧力:p(x,y,z,t)
  3. 密度:\rho(x,y,z,t)

と記述できます。

ラグランジュ的記述法

一方、ラグランジュ的記述法では、流体粒子を追跡して、粒子の初期位置と時間の関数として記述する方法のことです。

よって、時刻0に位置(X,Y,Z)にいた流体粒子の変数は

  1. 速度:U(X,Y,Z,t),V(X,Y,Z,t),W(X,Y,Z,t)
  2. 圧力:p(X,Y,Z,t)
  3. 密度:\rho(X,Y,Z,t)

となります。

ラグランジュ的記述法における微分をオイラー的記述で表記する

ラグランジュ的記述法では、粒子を追いかけるので運動方程式をたてる際に便利です。

一方、オイラー的記述法では、流体の流れを理解するのに便利です。

そこで、ラグランジュ的記述法における微分をオイラー的記述で見たらどうなるかを考えてみます。

 

まず、以下のように粒子が微小量移動していることを考えます。

ラグランジュ的記述法

そして、この粒子に関わる物理量f(圧力や密度など)の時間変化を考えます。

オイラー的記述では位置(x,y,z)の物理量はf(x,y,z,t)となります。

そして、時間\delta tたつと位置(x,y,z)から位置(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)へ移動します。

ここで、

 \delta x=u(x,y,z,t)\delta t

 \delta y=v(x,y,z,t)\delta t

 \delta z=w(x,y,z,t)\delta t

です。よって、

 f(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z,t+\delta t)

は1次近似により

 \displaystyle f(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z,t+\delta t)\\=f(x,y,z,t)+\frac{\partial f}{\partial t}\delta t+\frac{\partial f}{\partial x}\delta x+\frac{\partial f}{\partial y}\delta y+\frac{\partial f}{\partial z}\delta z

となります。よって

 \displaystyle \frac{Df}{Dt}=\frac{f(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z,t+\delta t)-f(x,y,z,t)}{\delta t}\\=\frac{\partial f}{\partial t}+\frac{\partial f}{\partial x}\frac{\delta x}{\delta t}+\frac{\partial f}{\partial y}\frac{\delta y}{\delta t}+\frac{\partial f}{\partial z}\frac{\delta z}{\delta t}\\=\frac{\partial f}{\partial t}+\frac{\partial f}{\partial x}u+\frac{\partial f}{\partial y}v+\frac{\partial f}{\partial z}w\\=\left(\frac{\partial}{\partial t}+u\frac{\partial}{\partial x}+v\frac{\partial}{\partial y}+w\frac{\partial}{\partial z}\right)f

が得られます。これを実質微分といいます。

実質微分は流体力学における運動方程式を導く際に使用します。

著者:安井 真人(やすい まさと)