電場による水滴の制御

水滴は電場に引き寄せられる性質があります。

ここでは、電場が水滴に与える影響を考察します。

 

まず、以下のように絶縁層に水滴がある状況を考えます。

Electrowetting

そして、厚さdの絶縁層を返して水滴に電圧Vをかけます。

すると、水滴が液体にへばりつきます。

このときの角度変化を計算してみます。

Youngの式の導出

角度変化を計算する前に、エネルギー保存則からYoungの式を導出します。

まず、以下のように水滴が固体の上にあり、界面が少し変化した状況を考えます。

Youngの式の導出

そして、単位面積当たりの接着エネルギーを

  • \gamma_{SG}:固体(Solid)-気体(Gas)間の接着エネルギー
  • \gamma_{LG}:液体(Liquid)-気体(Gas)間の接着エネルギー
  • \gamma_{SL}:固体(Solid)-液体(Liquid)間の接着エネルギー

とします。

すると、界面自由エネルギーの変化は

\Delta G=\gamma_{SL}\Delta A-\gamma_{SG}\Delta A+\gamma_{LG}\Delta A\cos\left(\theta+\Delta\theta\right)

となります。ここで、\Delta Aは液体と固体の接着面積の変化量です。

両辺を\Delta Aで割れば、

\displaystyle\frac{\Delta G}{\Delta A}=\gamma_{SL}-\gamma_{SG}+\gamma_{LG}\cos\left(\theta+\Delta\theta\right)

となります。これが0のときに平衡となるので、

\gamma_{SG}=\gamma_{SL}+\gamma_{LG}\cos\theta

が得られます。これをYoungの式と呼びます。

 

Youngの式より、固体、液体、気体間の接着エネルギーがわかれば、接触角\thetaを計算できます。

Electrowettingの原理

では水滴に電圧を以下のようにかけた場合の角度変化を計算します。

Electrowetting

まず、液体は伝導性なので抵抗がないとします。すると、水滴と絶縁体との接着面積をSとすれば、

\displaystyle C=\frac{\varepsilon_{0}\varepsilon_{r}}{d}S

が電気容量となります。すると、電圧をVかけるとエネルギー

\displaystyle\frac{1}{2}CV^{2}

が蓄えられます。

 

電圧により液体と固体との間の接着エネルギーが上昇すると仮定します。

すると

\displaystyle\gamma_{SL}(V)S+\frac{\varepsilon_{0}\varepsilon_{r}}{2d}SV^{2}=\gamma_{SL}(0)S

が得られます。両辺を面積で割れば

\displaystyle\gamma_{SL}(V)=\gamma_{SL}(0)-\frac{\varepsilon_{0}\varepsilon_{r}}{2d}V^{2}

となります。

ここでYoungの式を用いれば

\displaystyle\gamma_{SG}-\gamma_{LG}\cos\theta(V)=\gamma_{SG}-\gamma_{LG}\cos\theta(0)-\frac{\varepsilon_{0}\varepsilon_{r}}{2d}V^{2}

\displaystyle\cos\theta(V)=\cos\theta(0)+\frac{\varepsilon_{0}\varepsilon_{r}}{2d\gamma_{LG}}V^{2}

となります。この式を用いれば、どれくらいの電圧を加えれば、角度がどの程度変化するかがわかります。

少ない電圧で変化を大きくするには、

  • 絶縁体の比誘電率を大きくする
  • 絶縁体の厚みを小さくする
  • 水滴との親和性が低い気体を使う

とすればいいことがわかります。

著者:安井 真人(やすい まさと)