一定の力を受ける物体の運動

一定の力を受ける質点の運動について解析します。

一定の力を与えるものとして重力があるので、重力を受ける質点を解析しましょう。

重力

地球

地球表面上にいる物体は重力を受けます。

そして、重力は質点の質量に比例した量だけ影響します。

ですから、質量mの質点が受ける重力の大きさは

 mg

となります。ここでgは重力加速度と呼ばれる定数で、約9.8m/s^{2}です。

 

実際には地球上の位置によって微妙に変化します。

運動方程式を立てる

座標をz軸を鉛直上向きとして設定します。

すると、重力は

 \mathbf{f}=\left(\begin{array}{c}0\\0\\-mg\end{array}\right)

となります。

座標の設定

よって、運動方程式は

 \displaystyle m\frac{d\mathbf{v}}{dt}=\mathbf{f}

となります。成分ごとに書いて整理すれば

 \displaystyle\frac{dv_{x}}{dt}=0,\\\frac{dv_{y}}{dt}=0,\\\frac{dv_{z}}{dt}=-g

となります。

x,y成分の運動方程式を解く

では、x,y成分の運動方程式を解いていきます。

といっても速度の時間変化が0なので初期速度のままで

 v_{x}(t)=v_{x0},\\ v_{y}(t)=v_{y0}

なんですけどね。

 

これだけだとつまらないので、微積分の勉強も兼ねてテイラー展開を使って解いていきます。(マニアックなので飛ばしてかまいません)

テイラー展開は、範囲が狭ければ関数を直線で近似できることを基礎としています。

>>詳しくはこの記事を読んでください

 

x成分の速度は

 \displaystyle v_{x}(t+\Delta t)=v_{x}(t)+\frac{dv_{x}}{dt}(t)\Delta t+\frac{1}{2}\frac{d^{2}v_{x}}{dt^{2}}(t)\Delta t^{2}+\cdots

とテイラー展開できるとします。

これにx成分の運動方程式とその微分

 \displaystyle\frac{dv_{x}}{dt}=0,\\\frac{d^{2}v_{x}}{dt^{2}}=0\\\cdots

を利用すれば

 v_{x}(t+\Delta t)=v_{x}(t)

となります。

\Delta tは任意なので\Delta t=-tとすれば

 v_{x}(t)=v_{x}(0)=v_{x0}

となります。

 

同様に位置ベクトルも計算してみましょう。

位置ベクトルをテイラー展開すると

 \displaystyle x(t+\Delta t)=x(t)+\frac{dx}{dt}\Delta t+\frac{1}{2}\frac{d^{2}x}{dt^{2}}\Delta t^{2}+\cdots

となります。速度とその時間微分は

 \displaystyle v_{x}(t)=v_{x0},\\\frac{dv_{x}}{dt}=0,\\\frac{d^{2}v_{x}}{dt^{2}}=0,\\\cdots

なので

 x(t+\Delta t)=x(t)+v_{x0}\Delta t

となります。(二階以降の項は速度が一定なので0となります)

\Delta t=-tとすれば

 x(t)=x(0)+v_{x0}t

が得られます。

z成分を解く

z成分は普通にときます。まず、運動方程式は

 \displaystyle\frac{dv_{z}}{dt}=-g

なので両辺をtで積分すれば

 \displaystyle\int_{0}^{t}\frac{dv_{z}}{dt}dt=-\int_{0}^{t}gdt,\\\Rightarrow v_{z}(t)-v_{z}(0)=-g(t-0)=-gt,\\\Rightarrow v_{z}=v_{z0}-gt

となります。次に位置は速度を時間で積分して

 \displaystyle\int_{0}^{t}\frac{dz}{dt}dt=\int_{0}^{t}(v_{z0}-gt)dt,\\\Rightarrow z(t)-z(0)=v_{z0}t-\frac{1}{2}gt^{2}

が得られます。

まとめ

一定の力を受ける場合の質点の運動をまとめます。

まず、運動方程式は

 \displaystyle m\frac{dv}{dt}=f_{0}

となります(1成分)。速度は、運動方程式を0からtまで積分して

 \displaystyle\int_{0}^{t}m\frac{dv}{dt}dt=\int_{0}^{t}f_{0}dt

となり、

(左辺)=\left[mv\right]_{0}^{t}=mv(t)-mv(0)

(右辺)=\left[f_{0}t\right]_{0}^{t}=f_{0}t-f_{0}0=f_{0}t

が得られます。よって

 \displaystyle v(t)=v(0)+\frac{f_{0}}{m}t

となります。位置に関しては、速度を積分すれば

 \displaystyle\int_{0}^{t}\frac{dx}{dt}dt=\int_{0}^{t}vdt

となり、

(左辺)=\left[x(t)\right]_{0}^{t}=x(t)-x(0)

(右辺)=\displaystyle\left[v(0)t+\frac{1}{2}\frac{f_{0}}{m}t^{2}\right]_{0}^{t}=v(0)t+\frac{1}{2}\frac{f_{0}}{m}t^{2}

が得られ、最終的に

 \displaystyle x(t)=x(0)+v(0)t+\frac{1}{2}\frac{f_{0}}{m}t^{2}

となります。

トピック:ボールを遠くに飛ばすには

体力測定にボールを遠くに飛ばすという種目があります。

この測定で高得点をとるにはボールを遠くに飛ばす必要があります。

ボールを遠くに飛ばすにはどうすればいいかを考えましょう。

まず、ボールをx軸の方に投げるとしてy軸については無視します。

そして、ボールの初速度の大きさをv、角度を\thetaとします。

また、初期位置は原点とします。

このことから、時刻tでのボールの位置は

 x(t)=vt\cos\theta,

 z(t)=vt\sin\theta-\frac{1}{2}gt^{2}

となります。ボールが地面につくのは

 z(t)=0

なので、

 \displaystyle vt_{0}\sin\theta=t_{0}^{2}\frac{1}{2}g

となり、時刻0ではないので

 \displaystyle t_{0}=\frac{2v\sin\theta}{g}

が得られます。よって、ボールの飛距離は

 \displaystyle x_{0}=x(t_{0})=v\cos\theta\frac{2v\sin\theta}{g}

となります。

 \sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta

なので、

 \displaystyle x_{0}=\frac{v^{2}\sin 2\theta}{g}

が飛距離となります。この式より角度を45°にして投げるのがベストであることがわかります。

45°なら

 \displaystyle x_{0}=\frac{v^{2}}{g}

となります。また、初速度の二乗で効いてくるので、はじめにいかにボールの初速を伸ばすかが飛距離を伸ばすカギとなります。

著者:安井 真人(やすい まさと)