タンパク質

 細胞はタンパク質という高分子化合物を使って機能を獲得しています。また、タンパク質の細胞内の量を変化させることで、様々な機能を調整します。病気の多くもタンパク質の質と量の異常によるものが多いです。そのため、タンパク質の研究は今もなお多くの研究者が研究を進めています。ここでは、このタンパク質の構造や性質について学びます。

アミノ酸

 タンパク質は高分子化合物であり、アミノ酸という構成分子をつなげていくことで構成されます。細胞はこのアミノ酸配列を自由に設計する手法をもっており、様々なタンパク質をつくりだすことができます。

 アミノ酸はアミノ基(-NH2)とカルボキシ基(-COOH)をもつ化合物でいかのような構造になっています。

アミノ酸

ここに出てくる側鎖(R)の部分がアミノ酸の種類によって異なります。そして、アミノ酸の種類は約20種類あります。 側鎖には水に溶けやすい(極性をもつ)親水性のものや、水に溶けにくい疎水性のものがあります。また、親水性のものの中には電荷を持つものも存在します。以下に20種類のアミノ酸の分子構造をまとめます。赤が正電荷アミノ酸、青が負電荷アミノ酸です。下線があるものが極性をもち、ないものは非極性です。

名前 略号 分子量 等電点 構造
グリシン G(Gly) 75.07 5.97 グリシン
アラニン A(Ala) 89.09 6.00 アラニン
トレオニン T(Thr) 119.12 6.16 トレオニン
バリン V(Val) 117.15 5.96 バリン
アスパラギン酸 D(Asp) 133.10 2.77 アスパラギン酸
セリン S(Ser) 105.09 5.68 セリン
システイン C(Cys) 121.16 5.05 システイン
プロリン P(Pro) 115.13 6.30 プロリン
ロイシン L(Leu) 131.17 5.98 ロイシン
イソロイシン I(Ile) 131.17 6.05 イソロイシン
グルタミン酸 E(Glu) 147.13 3.22 グルタミン酸
アスパラギン N(Asn) 132.12 5.41 アスパラギン
グルタミン Q(Gln) 146.15 5.65 グルタミン
メチオニン M(Met) 149.21 5.74 メチオニン
リシン K(Lys) 146.19 9.75 リシン
アルギニン R(Arg) 174.20 10.76 アルギニン
ヒスチジン H(His) 155.15 7.59 ヒスチジン
トリプトファン W(Trp) 204.23 5.89 トリプトファン
フェニルアラニン F(Phe) 165.19 5.48 フェニルアラニン
チロシン Y(Tyr) 181.19 5.66 チロシン

ペプチド結合

 アミノ酸はペプチド結合をすることができます。そして、複数のアミノ酸がペプチド結合したものをポリペプチドと呼びます。ペプチド結合とは以下の様な結合です。

ペプチド結合

 

ペプチド結合が起きると水が出てきます。アミノ基側の端っこをアミノ末端(N末端)、カルボキシ基の端っこをカルボキシ末端(C末端)といいます。よく、N末とかC末とかいいます。

 タンパク質はポリペプチドです。タンパク質はとても多くの種類あります。というのも、アミノ酸が20種類もあるからです。アミノ酸20種類で長さが10だとすると、

 20^{10}=1.024\times10^{13}種類

となります。たった10配列でこれだけの量なので100配列となると膨大になることがよくわかります。生物はこの膨大な組み合わせから、使えそうなタンパク質を使用するのです。このアミノ酸の順序のことをタンパク質の一次構造といいます。

多次構造

二次構造

 タンパク質の構造の一部を拡大して見ると、ある規則性が見つかります。ひとつは螺旋構造でαヘリックスといいます。そして、もうひとつはジグザグ構造でβシートといいます。これらの構造はアミノ酸間の水素結合により安定化されます。αヘリックスやβシートのような構造をタンパク質の二次構造と呼びます。

αヘリックスの構造(Wikipediaより)

αヘリックスの構造(Wikipediaより)

βシートの構造(Wikipediaより)

βシートの構造(Wikipediaより)

三次構造と四次構造

αヘリックスやβシート、そして側鎖間の相互作用により折りたたまれた3次元構造をタンパク質の三次構造といいます。そして、いくつかのタンパク質が組み合わさって、さらなる構造をとることがあります。この複数のタンパク質の組み合わせによる構造をタンパク質の四次構造と呼びます。

変性

タンパク質は立体構造をとることで機能します。しかし、熱や酸などによりタンパク質の立体構造が壊れて機能を失います。このタンパク質の機能を失うことを失活といいます。そして、タンパク質の立体構造の変化による性質の変化を変性といいます。

著者:安井 真人(やすい まさと)