電場

海

 クーロンの法則により、電荷のもつ質点の間で力が生じることがわかりました。このクーロン力は遠隔ではたらくので不思議の思えた方もいたのではないでしょうか?マクスウェルもこれを奇妙に思い、「場(ば)」という概念を導入しました。

場とは

 場を導入すると、クーロン力は次のように考えます。まず、電荷を持った質点があったとします。この電荷はある位置にしっかり固定されています。

場

この固定された電荷が空間へ影響を与え場ができます(青色)。

場

次に、この電荷の近くに別の電荷を置いたとします。すると、設置した電荷はこの場から影響を受けて、別の電荷を持った質点が力を受けます。

場

以上が場の考え方です。今回は、電荷が空間へ影響を与えて場をつくるので、この場を「電場」といいます。また、重力がつくる場は「重力場」といいます。

点電荷がつくる電場

 では以上に述べたことを式で表現してみます。まず、位置\vec{r}に電荷qを置いたときにその電荷が受ける力を\vec{F}とします。このとき位置\vec{r}での電場\vec{E}

 \displaystyle\vec{E}=\frac{1}{q}\vec{F}

と定義します。すると、原点に置かれた電荷Qがつくる電場は、位置\vec{r}に置かれた電荷q質点の受ける力がクーロンの法則より

 \displaystyle\vec{F}=k\frac{Qq}{r^{2}}\frac{\vec{r}}{r}

なので、

 \displaystyle\vec{E}(\vec{r})=\frac{1}{q}\vec{F}=k\frac{Q}{r^{2}}\frac{\vec{r}}{r}

となります。これが点電荷がつくる場になります。

2つの点電荷がつくる電場

 練習問題として2つの点電荷A,Bが作る電場を計算してみましょう。

toi

位置(x,y)においた電荷qをもった点電荷は点電荷Aより

 \displaystyle \vec{F}_{A}=k\frac{Q_{A}q}{\sqrt{(x-a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x-a\\y\end{array}\right)

の力を受け、点電荷Bからは

 \displaystyle \vec{F}_{B}=k\frac{Q_{B}q}{\sqrt{(x+a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x+a\\y\end{array}\right)

のちからを受けます。よって、設置した電荷が受ける合力は

 \displaystyle \vec{F}=\vec{F}_{A}+\vec{F}_{B}\\=k\frac{Q_{A}q}{\sqrt{(x-a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x-a\\y\end{array}\right)+k\frac{Q_{B}q}{\sqrt{(x+a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x+a\\y\end{array}\right)\\=kq\left(\frac{Q_{A}}{\sqrt{(x-a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x-a\\y\end{array}\right)+\frac{Q_{B}}{\sqrt{(x+a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x+a\\y\end{array}\right)\right)

となり、

 \displaystyle \vec{E}=\frac{F}{q}=k\left(\frac{Q_{A}}{\sqrt{(x-a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x-a\\y\end{array}\right)+\frac{Q_{B}}{\sqrt{(x+a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}x+a\\y\end{array}\right)\right)

が電場となります。

電荷が同じでy軸に固定した場合

 式が複雑なので、条件をしぼってもう少し簡単化してみましょう。そこで、y軸に絞り、電場を計算します。y軸に絞るとx=0なので、

 \displaystyle \vec{E}=k\left(\frac{Q}{\sqrt{(-a)^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}-a\\y\end{array}\right)+\frac{Q}{\sqrt{a^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}a\\y\end{array}\right)\right)\\=\frac{kQ}{\sqrt{a^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\left(\begin{array}{c}-a\\y\end{array}\right)+\left(\begin{array}{c}a\\y\end{array}\right)\right)\\=\frac{kQ}{\sqrt{a^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}0\\2y\end{array}\right)

となります。

安定性

 y軸に電荷Qをおいたら最終的にどこにいくのかについて計算してみましょう。まず、電荷にかかる力は

 \displaystyle\vec{F}=Q\vec{E}=\frac{kQ^{2}}{\sqrt{a^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}0\\2y\end{array}\right)

となります。y>0におくと、正の方向に力をうけるためy=\inftyまで飛んでいきます。そして、y<0では、負の方向に力をうけ、y=-\inftyまで飛んでいきます。一方、y=0の場合、力をうけないためその場にとどまります。しかし、少しでもずれると無限遠点までとんでいくので不安定です。

 では、電荷-Qをおいてみましょう。すると、うける力は

 \displaystyle\vec{F}=-Q\vec{E}=-\frac{kQ^{2}}{\sqrt{a^{2}+y^{2}}^{3}}\left(\begin{array}{c}0\\2y\end{array}\right)

となります。この式からわかるように、y軸上のどこにいても、原点に向かって電荷は力を受けます。よって、原点は安定点となります。

重ね合わせの原理

 点電荷がA,B,C,\cdotsとあった際、電荷qが受ける力は

 \vec{F}=\vec{F}_{A}+\vec{F}_{B}+\vec{F}_{C}+\cdots

となります。ここでF_{A},\vec{F}_{B},\vec{F}_{C},\cdotsは点電荷A,B,C,\cdotsから電荷qが受ける力です。よって、電場は

 \displaystyle\vec{E}=\frac{\vec{F}}{q}=\frac{\vec{F}_{A}}{q}+\frac{\vec{F}_{B}}{q}+\frac{\vec{F}_{C}}{q}+\cdots\\=\vec{E}_{A}+\vec{E}_{B}+\vec{E}_{C}+\cdots

となります。このように点電荷が作り出す電場の足し合わせが全体の電場を作り出します。このことを電場における重ね合わせの原理と呼びます。この原理により、点電荷が作る電場を計算して足し合わせれば、機械的に点電荷がつくる電場を計算できます。

著者:安井 真人(やすい まさと)