金属内の電子

金属

 金属は電子回路をつくる際によく使います。その代表例が導線ですよね。鉄や銅などの金属は電気を通します。ここでは、その仕組みについて考えてみましょう。

金属モデル

 まず、金属を拡大すると、図のように金属原子(正電荷で図では青色)電子(負電荷で図では赤色)があります。

電子のゆらぎ

金属原子は多少熱により振動していますが、金属原子どうしは比較的がっちり位置を固定しています。一方、電子の方は金属内を好き勝手に移動できます。いろんなところへふらふら移動している感じです。

金属に電場をかける

 では、ここに電池をつないで電場をかけてみます。

金属に電位をかける

すると電子の動きはどうなるでしょうか?まず、電子の電荷を-eとすると、電子は

 \vec{F}=-e\vec{E}

の力を受けます(右の図の緑色矢印)。そして、電子の質量をmとすれば運動方程式より

 m\vec{a}=-e\vec{E}・・・(1)

となります。実際には熱によるゆらぎを考慮する必要がありますが、ここでは考えないことにします。運動方程式(1)を積分すると

 \displaystyle \vec{v}=-\frac{et}{m}\vec{E}+\vec{v_{0}}

となります。この式から、電子は時間が経てば無限の速度を持つことになります。しかし、実際にはこのようなことは起こりそうにはありません。そこで、速度が大きくなると速くなるのを押さえる項を入れた方がいいことがわかります。そこで運動方程式(1)を

 \displaystyle m\frac{d\vec{v}}{dt}=-e\vec{E}-\mu\vec{v}・・・(2)

として考えます。ここで、\muは定数です。式(2)の定常状態(時間がすごく経ったとき)を考えると速度は一定となるので式(2)は

 \displaystyle \vec{0}=-e\vec{E}-\mu\vec{v}\\ \Leftrightarrow \vec{v}=-\frac{e}{\mu}\vec{E}・・・(3)

となり速度は時間が経てば一定となります。実際にすべての電子は速度一定で移動していません。厳密には熱によりゆらぎながら移動しています。ただ、平均すれば式(3)のような速度で移動しています。

金属に流れる電流

 以上のモデルから金属に流れる電流を計算します。

オームの法則

 まず、金属の断面積をSとし、電子の単位体積あたりの個数をn個とすれば、\Delta tに断面積Sを通過する電子の数は

 \displaystyle n\times Sv\Delta t=-n\times S\frac{e}{\mu}E\Delta t=-\frac{nSe\Delta t}{\mu}E

となります。ゆえに微小時間\Delta tの間に断面積Sを通過する電荷量は

 \displaystyle\Delta Q=-e\left( -\frac{nSe\Delta t}{\mu}E\right)=-\frac{nSe^{2}\Delta t}{\mu}E\\ \Leftrightarrow \frac{\Delta Q}{\Delta t}=\frac{nSe^{2}}{\mu}E

となります。この極限を取ったものが電流なので

 \displaystyle I=\frac{dQ}{dt}=\frac{nSe^{2}}{\mu}E

となります。また、金属の長さをlとすると、電位と電場の関係は

 \displaystyle E=\frac{V}{l}

なので、

 \displaystyle I=\frac{nSe^{2}}{l\mu}V\\ \Leftrightarrow V=\frac{l\mu}{nSe^{2}}I=RI

が導かれます。これをオームの法則といいます。ここで

 \displaystyle R=\frac{l\mu}{nSe^{2}}

抵抗といいます。

 抵抗は電子部品を売っている店やネットで購入することができます。

抵抗はとても小さいので抵抗値を書くことはたいへんです。ですから、カラーコードというものを使って抵抗値を表現しています。

 数値 覚え方 許容差
 0 黒い礼服
1 茶の一杯 1%
 2 赤いニンジン 2%
 3 みかん
 4  黄 四季
 5  みどりご
 6  青虫
 7  紫  紫式部
 8  灰 ハイヤー
 9  白 白い雲
-1  金 5%
-2 10%
無着色 20%

抵抗には4本線があり、はじめの3本が数値、最後の一本が抵抗誤差を示してます。例えば、以下の様な抵抗の場合は

抵抗のカラーコード

10kΩで誤差2%です。

最後に

 非常に簡単な物理モデルでオームの法則を導くことができました。もちろんこのモデルは近似にすぎません。しかし、現象の最も重要な要素を抜き出し簡単化できるので非常に有効な考え方です。現象のエッセンスを抽出し、モデルを立てることが現象の理解のために大切であることが以上の議論からわかっていただけたかと思います。

著者:安井 真人(やすい まさと)