磁束密度

コンパス

 これまで、電場が点電荷に及ぼす力を計算してきました。さらに、電場を作る点電荷はすべて固定して議論してきました。点電荷が動いでもクーロンの法則だけで、すべての現象を説明できそうです。しかし、実際にはそうではなく、電荷が動くとある奇妙な現象が生じます。これから、点電荷が動くことによる現象について考えていきます。

ソレノイドコイル間にはたらく力

 以下のように円柱にくるくる銅線をはった2つのコイルがあったとします。このコイル対をヘルムホルツコイルといいます。

ヘルムホルツコイル 可動型 U21901

このコイルに電流を流すと、不思議なことにコイル同士に力が生じます。電場だけなら、電流がながれても偏りはないため、このような力ははたらきません。よって、点電荷が動くとこれまでの想定を超えた場がおきていると考える必要があるというわけです。

電荷がつくる磁場

 電荷の持った質点の運動を見ているといくつかのことがわかります。まず、電荷の持った質点を電場中に置くと力を生じます。これはクーロンの法則で表されることを学びました。式で書くと

 \displaystyle m\frac{d\vec{v}}{dt}=q\vec{E}・・・(1)

となります。ここでm,q,\vec{v},\vec{E}はそれぞれ質点の質量,電荷,速度と電場です。

 さらに電荷の持った質点の運動を調べていくと、式(1)では説明できない現象がでてきます。それは、電流Iのソレノイドコイルの近くでは電荷を持った質点がカーブするということです。実験を繰り返した結果、電荷qにかかる力は

 \displaystyle q\left(\vec{E}+\vec{v}\times\vec{B}\right),\\\vec{B}=\mu_{0}nI\vec{k}

と記述できることがわかりました。(ここで外積を使います)。ここで\vec{k}はコイルの軸方向単位ベクトルで、\mu_{0}=4\pi\times10^{-7}透磁率と呼ばれる定数です。ここでは、真空で実験したので\mu_{0}になります。もしも、真空でなく鉄などの場合は透磁率はおおきくなり、\mu_{0}との比を比透磁率とよびます。これをローレンツ力と呼びます。このことから逆に磁束密度を測定したいときは、電荷の持った質点の動きを見ればいいことになります。

 以上のことから、式(1)は

 \displaystyle m\frac{d\vec{v}}{dt}=q\left(\vec{E}+\vec{v}\times\vec{B}\right)・・・(2)

とまとめることができます。これで点電荷が運動中に生じる力を計算できるようになります。

点磁荷はない

 点電荷があるなら点磁荷があるのではと思われるでしょう。しかし、いまのところ点磁荷というものはありません。磁石をどんどん細かくしていっても点磁荷のようなものは取り出せないのです。このことをガウスの法則でかけば

 \displaystyle\int_{S}\vec{B}\cdot\vec{n}dS=0

となります。ここで、S,\vec{n}はそれぞれ閉曲面と微小面積dSの垂直な単位ベクトルです。

著者:安井 真人(やすい まさと)