モーメントの釣り合い

モーメントの釣り合い

これまで質点という大きさのないものを考えてきました。

そのため回転といったことを考慮する必要がありませんでした。

しかし、現実には回転が重要となる現象は世の中たくさんあります(重要かは別として、コマの運動とか)。

ここでは物質の回転について考えていきます。

 

回転といったらレバーが思いつきます。

ここでは、レバーをいかに簡単に回すことができるかについて考察しましょう。

ノブ

レバーを簡単に回すことのできる力の方向

まずは、回す際にどの方向へ力を入れれば、最も簡単に回せるでしょうか?

ノブ

こんな感じにノブを押したらどうでしょうか?

もちろん、これではいくら力を入れてもノブは回りませんね。

 

みなさんお分かりの通り最も回しやすいのは

ノブ

のような力のかけ方です。

 

以上のことを用語としてまとめるために「支点」と「作用点」という言葉を導入します。

 

といっても簡単で

支点は回転する中心の点で、作用点は力を加える点です。

さて、先ほどの考察を支点と作用点を使って表現すると

支点と作用点を結ぶ線に垂直に力を加えれば回りやすい

ということになります。

 レバーを簡単に回すことのできる位置

では続いてまわす位置はどこがいいでしょうか?

支点に近い方がいいのか、遠い方がいいのか?

  

経験的に分かると思いますが、支点から遠い方が楽に回せます。

 まとめ

以上のことから、簡単に回すには

  1. 力は支点と作用点とを結ぶ線に垂直にいれる
  2. なるべく支点と作用点は離れた距離で回す

とすれば良さそうです。

 数学的な記述

では、この回す威力を数学的に表現してみましょう。

まず、回す威力をTとおき、トルクとかモーメントとか呼ぶことにします。

そして、以下の図のように作用点と支点との距離をr、力の大きさをF、支点と作用点を結ぶ直線と力のなす角度を\thetaと置きます。

トルクの大きさ

経験則1より力は支点と作用点を結ぶ線に垂直な方向へ掛けた方がいいので

 F\cos\theta

という量がTに重要となります。

次に経験則2よりrがでかいほどTは大きくなるとわかります。

よって、支点と作用点との距離がrで、力の方向と支点と作用点を結ぶ直線との角度を\thetaとしたとき、物体にはたらくトルクの大きさは

 T=r\times F\cos\theta・・・(1)

とすればいいことがわかります。

 トルクの正負

いま支点と作用点を結ぶベクトル\vec{r}と力をベクトルで\vec{F}で書くと、トルクTはベクトル\vec{r},\vec{F}がつくる平行四辺形の面積に等しくなることがわかります。

それと、トルクには時計周りに回すのかと反時計周りに回すのかという向きがあります。

右手の先端がベクトル\vec{r}の方を向くようにして、

\vec{F}の先端に指先が来るようにします。

←親指はこの場合奥にあります。

この際の親指の方向をトルクTの方向として、トルクをベクトルで\vec{T}で表記します。

もちろん大きさは\vec{r},\vec{F}がつくる平行四辺形の面積です。

 

こうすることで、トルクの回す方向によって、トルクの向きが変わります。

 

以上のような計算方法を外積といい、

 \vec{T}=\vec{r}\times\vec{F}・・・(2)

と表記します。

トルクのまとめ

以上のことから、

支点と作用点との距離がrで、力の方向と支点と作用点を結ぶ直線との角度を\thetaとしたとき、物体にはたらくトルクは

 \vec{T}=\vec{r}\times\vec{F}

とすればいいことがわかります。

次回、外積の簡単な計算方法について紹介します。

著者:安井 真人(やすい まさと)