人工衛星の運動

人工衛星

前回、万有引力の法則について説明しました。

ここでは万有引力の法則を使って、人工衛星の運動について解析していきます。

まず、人工衛星ですが、地球の質量と比べて非常に小さいので地球は人工衛星の影響を受けずにほとんど止まっていると考えます。

そこで、地球を原点にとるように座標を選びます。

 

いま、地球と人工衛星の質量をそれぞれM,mとすると人工衛星にかかる力の大きさは万有引力の法則より

 \displaystyle |\vec{F}|=-G\frac{Mm}{r^{2}}

となります。さらに力の向きは原点(地球)を向いているので

 \displaystyle\vec{F}=-G\frac{Mm}{r^{2}}\frac{\vec{r}}{r}・・・(1)

となります。ここで\vec{r}は人工衛星の位置ベクトルで、

 r=|\vec{r}|

となります。

 

式(1)を使って、人工衛星の運動方程式を立てると

 \displaystyle m\frac{d\vec{v}}{dt}=-G\frac{Mm}{r^{2}}\frac{\vec{r}}{r}・・・(2)

となります。

あとは式(2)を解いていくわけです。

 

まず、人工衛星にはたらく力は地球の方向へ向いているので、ある平面内を運動することがわかります。そこで、人工衛星の軌道をxy平面上として計算します。

するとz成分は常に0となります。

 

次に力は距離rに依存するので、デカルト座標系より極座標系の方が良さそうです。そこで

 x=r\cos\theta,y=r\sin\theta・・・(2)

と座標変換します。すると運動方程式は

 \displaystyle m\frac{d^{2}x}{dt^{2}}=-G\frac{Mm}{r^{2}}\frac{r\cos\theta}{r}・・・(3)

 \displaystyle m\frac{d^{2}y}{dt^{2}}=-G\frac{Mm}{r^{2}}\frac{r\sin\theta}{r}・・・(4)

となります。極座標へ変換するため式(2)を頑張って時間で微分していくと

 \displaystyle\frac{dx}{dt}=\frac{dr}{dt}\cos\theta-r\frac{d\theta}{dt}\sin\theta,

 \displaystyle\frac{dy}{dt}=\frac{dr}{dt}\sin\theta+r\frac{d\theta}{dt}\cos\theta,

となりさらに微分すると

 \displaystyle\frac{d^{2}x}{dt^{2}}=\frac{d^{2}r}{dt^{2}}\cos\theta-2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt}\sin\theta-r\frac{d^{2}\theta}{dt^{2}}\sin\theta-r\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^{2}\cos\theta,

 \displaystyle\frac{d^{2}y}{dt^{2}}=\frac{d^{2}r}{dt^{2}}\sin\theta+2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt}\cos\theta+r\frac{d^{2}\theta}{dt^{2}}\cos\theta-r\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^{2}\sin\theta

となります。この式を使って

式(3)×\cos\theta+式(4)×\sin\theta,

式(3)×\sin\theta-式(4)×\cos\theta

を計算していくと式(3),(4)は

 \displaystyle m\left(\frac{d^{2}r}{dt^{2}}-r\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^{2} \right)=-G\frac{Mm}{r^{2}}・・・(5)

 \displaystyle m\left(-2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt}-r\frac{d^{2}\theta}{dt^{2}}\right)=0・・・(6)

となります。

式(6)は

 \displaystyle\frac{m}{r}\frac{d}{dt}\left(r^{2}\frac{d\theta}{dt}\right)=m\left( 2\frac{dr}{dt}\frac{d\theta}{dt}+r\frac{d^{2}\theta}{dt^{2}}\right)

を使うと

 \displaystyle\frac{m}{r}\frac{d}{dt}\left(r^{2}\frac{d\theta}{dt}\right)=0\Leftrightarrow \frac{d}{dt}\left(r^{2}\frac{d\theta}{dt}\right)=0 \Leftrightarrow r^{2}\frac{d\theta}{dt}=C・・・(7)

となります。ここでCは初期条件で決まります。また、

 \displaystyle\frac{1}{2}\times r\times r\frac{d\theta}{dt}

は図のように少し時間が経った際の面積の変化量なので面積速度と呼ばれています。

式(7)は面積速度は常に一定になることを述べており、ケプラーの第二法則と呼ばれています。

 

さらに式(5)を解けば終わりなのですが、解くのが難しいのでここでは軌道が円の場合

 r=R

の場合について解いてみます。rが一定だと式(7)は

 \displaystyle R\frac{d\theta}{dt}=\sqrt{\frac{C}{R}}=v_{0}・・・(8)

となり速度v_{0}の等速円運動であることがわかります。

また、式(5)は

 \displaystyle-mR\left(\frac{d\theta}{dt}\right)^{2}=-G\frac{Mm}{R^{2}}

となり式(7)より\frac{d\theta}{dt}を消去すると

 \displaystyle\left(\frac{v_{0}}{R}\right)^{2}=G\frac{M}{R^{3}}\Leftrightarrow v_{0}=\sqrt{\frac{GM}{R}}

となり、半径が大きいほど人工衛星の速度が遅くなることがわかります。

 

さらに回転の周期は、距離÷速さなので

 \displaystyle T=\frac{2\pi R}{v_{0}}=\frac{2\pi}{\sqrt{GM}}R^{3/2}\Leftrightarrow \frac{R^{3}}{T^{2}}=\frac{GM}{4\pi^{2}}

となります。つまり、半径の三乗を周期の二乗で割った値は一定となります。これをケプラーの第三法則といいます。

例えば、地球、金星、水星の軌道の半径が分かっていれば、地球の周期が365日であることから金星と水星の周期を計算することができますね。

ただ、円運動していたらのはなしですが…。

著者:安井 真人(やすい まさと)