質点

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 力学では質点(しつてん)という考え方があります。質点を考えることで、ものの動きを簡単に記述できるようになります。ここでは、この質点の考え方を解説します。

質点とは

 わたしたちの身の回りにはたくさんのものがあります。例えば、鉛筆やコップなど様々です。そして、これらのものは大きさや形そして材質が異なります。ではいま、これらのものがどのように運動するかを考えてみましょう。

 その際、まずものの形を数式で表現しないといけません。例えば、原点にある半径Rの球なら

 \{(x,y,z)|x^{2}+y^{2}+z^{2}<R^{2}\}

と表現できます。球ならなんとなるのですが、ものの大きさや形はいろいろあります。もし、これら複雑な形をいちいち定義していたらたいへんです。

 そこでものの大きさや形を考えないでただの点として扱うことにします。これが質点の考え方です。つまり、質点を以下のように定義します。

質点

大きさはないが重さのあるもののことを質点という。

質点

こうすれば、ものの位置(x,y,z)を考えれば、ものの運動を考えることができます。ただ、物質は位置だけでなく重さも存在します。そこで、以下のようにものの重さを定義します。

質量

物質がもつ重さのことを質量(しつりょう)と呼ぶ。

以上のことから、質点としてものを見れば

  1. ものの位置
  2. ものの質量

だけを考えればものの運動を考えることが可能となるのです。

 質点って便利な近似だということがわかっていただけたかと思います。以上のように質点の考え方は便利です。ただ、

質点はあくまで近似である

ことを忘れてはいけません。例えば、ものの形を考えていないので、ものの回転を質点で考えることはできません。常に質点として近似していいのかを考えることは、わたしたちの身の回りの問題を解こうとする際に重要です。どこまで近似を持ち込むかが理論家の腕の見せどころです。

著者:安井 真人(やすい まさと)