力

 ここではとは何かについて考えたいと思います。魔法の力とか愛の力とか、力には色々な使われ方がしますが、ここでは物体にはたらく力に考えます。

 物体に力が加わると何が起こるでしょうか?例えば、ボールをバットで打ったら何が起こるでしょうか?まず、物体が変形するでしょう。ただ、ここでは質点という大きさや形のないものを考えているので変形は考えません。では、変形以外に何が変わるでしょうか?よく考えると物体の位置が変わりそうですね。しかし、転がっているボールのように物体の位置は力がなくても変化します。一方、速度は力が加わらないと変化しないように思えます。以上のことから

力が質点に加わると質点の速度が変わる

と考えれば良さそうです。速度の変化は加速度なので、

質点に加わる力を\vec{F}、加速度を\vec{a}として

\vec{F}=m\vec{a}・・・(1)

を力と定義する。

とすれば良さそうです。ここで、mは比例定数で質量と呼びます。この力の定義をニュートンの第二法則と呼びます。

 慣性の法則

 ちなみに第二法則があれば、第一法則もあるのではと思われたでしょう。その通りで第一法則があり、ニュートンの第一法則慣性の法則とも呼ばれています。その法則は以下の様なものです。

慣性の法則

力がはたらかなければ静止している物質は静止し続け、動いている物質は等速直線運動をする。この法則を慣性の法則(ニュートンの第一法則)という

実際に式(1)より力がはたらいていないと

 \vec{0}=m\vec{a}\Leftrightarrow \vec{a}=\vec{0}

となり、この式を積分すると

 \displaystyle\vec{v}(t)=\left(\begin{array}{c}v_{x0}\\v_{y0}\\v_{z0}\end{array}\right)・・・(2)

となります。v_{x0},v_{y0},v_{z0}は時刻0での質点の速度成分を示しています。詳細は以下の「MEMO」をみてください。式(2)より慣性の法則が成り立つことがわかります。つまり、ニュートンの第二法則に慣性の法則は含まれるということです。

 積分が出てきたので、少し補足します。積分とは、読んで字のごとく「細かく分けたものを積み重ねたもの」という意味です。この積み重ねのイメージについて説明します。さて、今回の場合、加速度は

 \displaystyle\vec{a}=\frac{d\vec{v}(t)}{dt}=\vec{0}

でした。このx成分だけかくと

 \displaystyle\frac{dv_{x}}{dt}=0

となります。この式から、

 \displaystyle\frac{d^{n}v_{x}}{dt^{n}}=0・・・(A)

であることもわかります。これを積分するため、時間を\Delta tで細かく分けます。すると

 \displaystyle\Delta v_{x}(t)\\=v_{x}(t+\Delta t)-v_{x}(t)\\=\left(v_{x}(t)+\frac{dv}{dt}\Delta t+\frac{1}{2}\frac{d^{2}v}{dt^{2}}(\Delta t)^{2}+\cdots\right)-v_{x}(t)\\=\frac{dv}{dt}\Delta t+\frac{1}{2}\frac{d^{2}v}{dt^{2}}(\Delta t)^{2}+\cdots\\=0

が任意の実数tで成り立ちます。変位\Delta v_{x}を時刻0からtまで積み重ねれば、現在の速度となります。よって

 \displaystyle v_{x}(t)=v_{x0}+\int_{0}^{t}\frac{dv_{x}}{dt}dt\\=v_{x0}+\int_{v_{x}(0)}^{v_{x}(t)} dv_{x}\\=v_{x0}+\sum_{i=0}^{(t/\Delta t)-1}\Delta v_{x,i}\\\left(=v_{x0}+\sum_{i=0}^{(t/\Delta t)-1}(v_{x}((i+1)\Delta t)-v_{x}(i\Delta t))\right)\\=v_{x0}+\Delta v_{x}(0)+\Delta v_{x}(\Delta t)+\Delta v_{x}(2\Delta t)+\cdots +\Delta v_{x}(t-\Delta t)

となります。ここでv_{x0}は初速度です。すべての時刻において\Delta v_{x}(t)=0なので

 v_{x}(t)\\=v_{x0}+\Delta v_{x}(0)+\Delta v_{x}(\Delta t)+\Delta v_{x}(2\Delta t)+\cdots +\Delta v_{x}(t-\Delta t)\\=v_{x0}

が得られます。上記の説明で、積分のイメージをつかめていただけたかと思います。細かく分けて積みあげるのが積分です。

著者:安井 真人(やすい まさと)