運動エネルギー

運動エネルギー

 物理ではエネルギーという概念をよく使います。エネルギーを考えることで、多くの問題を簡単に解くことができます。ここでは、エネルギーのイメージから考え、質点の運動エネルギーを導きます。

エネルギーについて考えてみる

 ではエネルギーについて考えます。日常生活でエネルギーという言葉をどこで使うでしょうか?よく「エネルギッジュな人」とか言ったりしますよね。エネルギッシュな人といったら元気な人を何となく連想します。また、非常に影響力のあるイメージです。

 では、エネルギッシュな質点とはどんな質点でしょうか?まず、質点の速度についてはどうでしょうか?少し考えると質点が速い方があたったら痛そうなのでエネルギッシュそうです。

 次に、質量はどうでしょうか?質量が高いと重いということで、もし速度が同じで質量の違う質点(例えばトラックと軽自動車)を比べれば質量が高い方がエネルギッシュそうです。

 よってエネルギッシュな質点とは

  • 速い
  • 質量が高い

ということになりそうです。

 仕事量

 では次に、質点に力を加えて、質点のエネルギーがどのように変わりそうか考察していきましょう。まず、x方向へ速度v(t)で移動している場合にx方向へ力F(t)を加えたら、質点のエネルギーはどうなるでしょうか?質点の速さが速くなりそうなので、質点のエネルギーは高くなりそうです。よって、力と速度の積

 F(t)v(t)

が質点のエネルギーに影響を与えそうです。

仕事量

力と速度の積F(t)v(t)仕事量と呼びます。また、三次元の場合は

 \vec{F}\cdot\vec{v}

が仕事量となります。

仕事量は内積なのでベクトルではなく実数のようなスカラーとなります。

 運動エネルギーと仕事

運動方程式

 \displaystyle m\dot{\vec{v}}=\vec{F}

\vec{v}の内積を掛けて仕事量を出してみます。すると

 m\vec{v}\cdot\dot{\vec{v}}=\vec{F}\cdot\vec{v}・・・(1)

となります。ここで、

 \vec{v}\cdot\dot{\vec{v}}=v_{x}\dot{v_{x}}+v_{y}\dot{v_{y}}+v_{z}\dot{v_{z}}

となり、さらに

 \displaystyle v_{x}\dot{v_{x}}=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}v_{x}^{2}\right)←合成関数の微分を使って右辺を計算すると左辺と等しくなる

 \displaystyle v_{y}\dot{v_{y}}=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}v_{y}^{2}\right),

 \displaystyle v_{z}\dot{v_{z}}=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}v_{z}^{2}\right)

を利用すると式(1)は

 \displaystyle\frac{d}{dt}\left(\frac{m}{2}\vec{v}\cdot\vec{v}\right)=\vec{F}\cdot\vec{v}・・・(2)

となります。さらに式(2)を時間で積分すれば

 \displaystyle\int_{t_{1}}^{t_{2}}\frac{d}{dt}\left(\left(\frac{m}{2}\vec{v}\cdot\vec{v}\right)\right)dt=\int_{t_{1}}^{t_{2}}\vec{F}\cdot\vec{v}dt,

 \displaystyle\Leftrightarrow \left[ \frac{m}{2}\vec{v}\cdot\vec{v}\right]_{t_{1}}^{t_{2}}=\int_{t_{1}}^{t_{2}}\vec{F}\cdot\vec{v}dt,

 \displaystyle\Leftrightarrow \frac{m}{2}\vec{v}(t_{2})\cdot\vec{v}(t_{2})-\frac{m}{2}\vec{v}(t_{1})\cdot\vec{v}(t_{1})=\int_{t_{1}}^{t_{2}}\vec{F}\cdot\vec{v}dt

となります。ここで運動エネルギーや仕事の項が出てくるので、以下のように定義します。

運動エネルギ

\displaystyle\frac{m}{2}\vec{v}\cdot\vec{v}は質点に関する量であり、質点の運動エネルギーと呼ぶ。また、\displaystyle\int_{t_{1}}^{t_{2}}\vec{F}\cdot\vec{v}dtは質点に与えた影響であり、質点への仕事と呼ぶ。

式からわかるように、外力が質点の動く方向へはたらけば正の値をとります。

 質点の運動エネルギーを見ると\displaystyle\frac{m}{2}\vec{v}\cdot\vec{v}なので、確かに、速くて質量の高い質点はエネルギッシュですね。

 少し外力による仕事について補足します。いま

 W=\displaystyle\int_{t_{1}}^{t_{2}}\vec{F}\cdot\vec{v}dt

とおくと

 \displaystyle\frac{m}{2}\vec{v}(t_{2})\cdot\vec{v}(t_{2})=\frac{m}{2}\vec{v}(t_{1})\cdot\vec{v}(t_{1})+W

となります。これは、外力が正なら、質点の速度が速くなることを意味します。質点の運動方向へ力を加えると仕事は正なので当たり前のことですね。

著者:安井 真人(やすい まさと)