気体分子運動論

気体

気体はじめに理想気体について解説します。

まず、気体は酸素や窒素などの分子より構成されています。

そして、それらの分子が飛び回ることにより気体が構成されます。

目で見えないので、想像しがたいと思いますが、小さなつぶつぶが目の前をすごい速さで駆け巡っているのです。

 

そして、理想気体とは気体を簡単に計算できるようにモデル化したものです。

この理想気体により気体の性質がすっきり理解できて便利です。

 

では、理想気体について解説していきます。

理想気体

 

まず、一辺Lの立方体に気体分子がN個ある状況を考えます。

気体分子の数はアボガドロ数のオーダーで非常にたくさんあります(図では6個しかありませんが…)。

 

 

分子の衝突いま、一つの気体分子が初期速度v_{x}で壁に弾性衝突し-v_{x}で跳ね返ったとします。

すると、壁に与える運動量は運動量保存則より

 \Delta P=mv_{x}-(-mv_{x})=2mv_{x}

となります。この分子は往復するのに

 \displaystyle\frac{2L}{v_{x}}

の時間が必要なので、単位時間あたり

 \displaystyle f=\frac{\Delta Pv_{x}}{2L}=\frac{mv_{x}^{2}}{L}

の力を壁に与えます。

 

ここで、一つの分子ではなく数を増やしていき、単位時間あたりに与える力の総和を計算すると

 \displaystyle F=\sum_{i=1}^{N} \frac{mv_{x,i}^{2}}{L}=N\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N} \frac{mv_{x,i}^{2}}{L}=N\frac{m}{L}\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}v_{x,i}^{2}=\frac{Nm}{L}<v_{x}^{2}>

となります。ここで、単位面積あたりの力である圧力へ変換すると

 \displaystyle P=\frac{F}{L^{2}}=\frac{Nm}{L^{3}}<v_{x}^{2}>=\frac{Nm}{V}<v_{x}^{2}>

が得られます。ここでV=L^{3}は体積です。よって、

 PV=Nm<v(x)^{2}>

となります。分子数よりもモル数n=N/N_{A}の方が使い易いので

 PV=nN_{A}m<v_{x}^{2}>=nRT・・・(1)

とします。ここで

 RT=N_{A}m<v_{x}^{2}>・・・(2)

とおき、R=8.31[JK^{-1}mol^{-1}]を気体定数と呼び、Tを絶対温度といいます。また、気体定数をアボガドロ数で割った値

 \displaystyle k=\frac{R}{N_{A}}

ボルツマン定数といいます。

 

式(2)から全分子の運動エネルギーを計算すると

 \displaystyle U=\sum_{i=1}^{N}\frac{1}{2}m(<v_{x}^{2}>+<v_{y}^{2}>+<v_{z}^{2}>),

 \displaystyle=N\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}\frac{1}{2}m(<v_{x}^{2}>+<v_{y}^{2}>+<v_{z}^{2})>,

 \displaystyle=N\frac{3}{2}\frac{R}{N_{A}}T=\frac{3}{2}nRT

となります。ここで分子の速度の平均は方向に依存しないと考え

 <v_{x}^{2}>=<v_{y}^{2}>=<v_{y}^{2}>

を利用しています。このエネルギーには気体分子の並進運動のエネルギーしか入っておらず、回転運動のエネルギーは入っていません。ですから、単原子分子のような丸い分子に適応可能です。酸素のように丸くない分子には使うことができませんのでご注意を。

 

以上まとめると理想気体では式(1)

 PV=nRT

が成り立つことがわかります。この式を理想気体の状態方程式といいます。そして式(2)の温度の定義

 \displaystyle T=\frac{N_{A}m<v_{x}^{2}>}{R}

から分子の平均速度が速くなるほど気体の温度が高くなることがわかりますね。また、分子全体のエネルギーは

 \displaystyle U=\frac{3}{2}nRT

となり、分子数と温度だけに依存します。分子全体のエネルギーのことを内部エネルギーといいます。

著者:安井 真人(やすい まさと)