弦の振動

ギター

 ギータや琴のような楽器の仕組みを物理します。ギータや琴では弦と呼ばれるひもを引っ張り、弦をはじくことで音を出します。この弦の動きを解析しましょう。

弦のモデル化

 まず、図のように弦を両端で固定しつつ、張力Tで引っ張っている状況を考えます。これを指で引っ張って離すと振動します。ここで、図のようにx,y軸を設定します。

弦

\rhoを弦の単位長さあたりの質量だとするとy軸方向の運動方程式は

 \displaystyle \rho \Delta x\frac{d^{2}y}{dt^{2}}=-\rho \Delta x g+T\sin\theta(x+\Delta x)-T\sin\theta(x)・・・(1)

となります。下図を見れば、運動方程式が(1)のようになることがわかるかと思います。ここで、\thetaは弦がなす角度で、ほとんどゼロに近い値をとります(弦はきっちりはられているのがふつうなので)。

弦の運動方程式

方程式をテイラー展開により解く

 \theta,\Delta xが小さいことより、テイラー展開を使い二次以降の項を省略すると

 \displaystyle \sin \theta\approx\tan\theta\cos\theta=\frac{y(x+\Delta x)-y(x)}{\Delta x}\cos\theta\approx \frac{\frac{dy}{dx}\Delta x}{\Delta x}\times 1=\frac{dy}{dx}

が得られ、式(1)は

 \displaystyle \rho \Delta x\frac{d^{2}y}{dt^{2}}=-\rho \Delta x g+T\frac{dy}{dx}(x+\Delta x)-T\frac{dy}{dx}(x)

 \displaystyle \Leftrightarrow \rho \Delta x\frac{d^{2}y}{dt^{2}}\approx -\rho \Delta x g+T(\frac{dy}{dx}+\frac{d^{2}y}{dx^{2}}\Delta x)-T\frac{dy}{dx}(x)←テイラー展開により二次以降を省略

 \displaystyle\Leftrightarrow \rho \Delta x\frac{d^{2}y}{dt^{2}}\approx -\rho \Delta x g+T\frac{d^{2}y}{dx^{2}}\Delta x

 \displaystyle\Leftrightarrow \frac{d^{2}y}{dt^{2}}\approx -g+\frac{T}{\rho}\frac{d^{2}y}{dx^{2}}

となります。ここで\Delta x\to 0の極限をとれば、二次以降の省略が正当化され

 \displaystyle \frac{d^{2}y}{dt^{2}}= -g+\frac{T}{\rho}\frac{d^{2}y}{dx^{2}}

が得られます。

また、張力の項\frac{T}{\rho}\frac{d^{2}y}{dx^{2}}が重力加速度と比べて大きいことから、重力の項を無視すると

 \displaystyle \frac{d^{2}y}{dt^{2}}=\frac{T}{\rho}\frac{d^{2}y}{dx^{2}}

となります。この方程式を一次元の波動方程式といいます。次回は波動方程式を解いていきます。

著者:安井 真人(やすい まさと)