電磁波の伝わり方

波

 光は望遠鏡や顕微鏡、通信など多くの場面で利用されています。そのため、光がどのように伝わるのかを理解する能力はエンジニアにとって重要になっています。光は電磁波であり、マクスウェル方程式により動きが記述されます。マクスウェル方程式は計算を進めると、波動方程式のため波動方程式を解ければ光の動きを理解できます。ここでは、波動方程式の基本的な解である平面波と球面波について解説します。

波動方程式

 弦の解析を行った際、1次元の波動方程式であることがわかりました。光も同様に波動方程式で記述されることがマクスウェル方程式からの計算でわかります(大学で学ぶ)。そのため、3次元波動方程式

 \displaystyle\frac{\partial^{2}f(x,y,z,t)}{\partial t^{2}}=c^{2}\left(\frac{\partial^{2}f(x,y,z,t)}{\partial x^{2}}+\frac{\partial^{2}f(x,y,z,t)}{\partial y^{2}}+\frac{\partial^{2}f(x,y,z,t)}{\partial z^{2}}\right)

が解ければ光学を理解できることになります。この解にはいくらかありますが、ここでは基本的な波である平面波と球面波について学びます。

平面波

 3次元波動方程式の解として平面波があります。平面波は平面が直進的に進む波のことです。懐中電灯のような光だと思っていただければ結構です。

式で書くと

 \displaystyle f(x,y,z,t)=A\sin\left(k_{x}x+k_{y}y+k_{z}z-\omega t+\delta\right)

となります。ここで、k_{x},k_{y},k_{z}は定数で波数ベクトルと呼ばれます。単位長さ当たりの波の数を表すので波数と呼ばれるのです。平面波の具体例として

 \displaystyle f(x,y,z,t)=A\sin\left(k_{x}x-\omega t+\delta\right)

とすれば、この波はx軸に対して正の方向へ進むことがわかります。時刻0で原点にあった位相は

 k_{x}x-\omega t+\delta=\delta

であり、少し時間がたったt_{0}では

 k_{x}x_{0}-\omega t_{0}+\delta=\delta\\\Leftrightarrow x_{0}=\frac{\omega}{k_{x}}t_{0}>0

x_{0}が正になるからです。この例からわかるように波数ベクトル(k_{x},k_{y},k_{z})の方向へ平面の波が直進的に進んでいきます。

 さらに波数ベクトルと光速・振動数にはある関係式があるので、そのことを導きます。3次元波動方程式に平面波の方程式を代入すると

 \displaystyle\frac{\partial^{2}f}{\partial t^{2}}=-\omega^{2}f,\\\frac{\partial^{2}f}{\partial x^{2}}=-k_{x}^{2}f,\\\frac{\partial^{2}f}{\partial y^{2}}=-k_{y}^{2}f,\\\frac{\partial^{2}f}{\partial z^{2}}=-k_{z}^{2}f

より

 \displaystyle-\omega^{2}f=-c^{2}k_{x}^{2}f-c^{2}k_{y}^{2}f-c^{2}k_{z}^{2}f\\\Leftrightarrow\frac{\omega^{2}}{c^{2}}=k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2}

と成り立つ必要があることがわかります。つまり、波数ベクトル(k_{x},k_{y},k_{z})の大きさを

 \displaystyle k=\sqrt{k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2}}

とした際に

 \displaystyle k=\frac{\omega}{c}

である必要があります。方向は好きな向きでいいのですが、大きさは振動数に応じて決めないといけません。

球面波

 続いて球面波について解説します。球面波は豆電球のような光のことで、点光源から球面状にでる光のことです。

式で書くと

 \displaystyle f(x,y,z,t)=\frac{A}{r}\sin(kr-\omega t +\delta)

となります。ここで、r=\sqrt{x^{2}+y^{2}+z^{2}}で、点光源は原点からでています。点光源からでる光は遠くに行くほど暗くなるので1/rがかけられています。この式を時間で2階偏微分すると

 \displaystyle\frac{\partial^{2}f}{\partial t^{2}}=-\omega^{2}f

となります。そして、xで偏微分すると

 \displaystyle\frac{\partial f}{\partial x}\\=-\frac{Ax}{r^{3}}\sin(kr-\omega t +\delta)+\frac{A}{r}\cos(kr-\omega t+\delta)\frac{\partial}{\partial x}(kr-\omega t+\delta)\\=-\frac{x}{r^{2}}f+A\cos(kr-\omega t+\delta)\frac{kx}{r^{2}}

となり、少し計算が面倒ですが、さらに偏微分すると

 \displaystyle\frac{\partial^{2}f}{\partial x^{2}}=\\-\frac{1}{r^{2}}f+\frac{2x^{2}}{r^{4}}f-\frac{x}{r^{2}}\left(-\frac{x}{r^{2}}f+A\cos(kr-\omega t+\delta)\frac{kx}{r^{2}}\right)\\-A\sin(kr-\omega t+\delta)\frac{k^{2}x^{2}}{r^{3}}+A\cos(kr-\omega t+\delta)k\left(\frac{1}{r^{2}}-\frac{2x^{2}}{r^{4}}\right)\\=-\frac{1}{r^{2}}f+\frac{3x^{2}}{r^{4}}f-\frac{k^{2}x^{2}}{r^{2}}f+A\cos(kr-\omega t+\delta)k\left(\frac{1}{r^{2}}-\frac{3x^{2}}{r^{4}}\right)

となります。y,zも同様なので、足し合わせると

 \displaystyle\frac{\partial^{2}f}{\partial x^{2}}+\frac{\partial^{2}f}{\partial y^{2}}+\frac{\partial^{2}f}{\partial z^{2}}\\=-\frac{3}{r^{2}}f+\frac{3}{r^{2}}f-k^{2}f+A\cos(kr-\omega t+\delta)k\left(\frac{3}{r^{2}}-\frac{3}{r^{2}}\right)\\=-k^{2}f

が得られます。3次元波動方程式に代入すると

 \displaystyle-\omega^{2}=-c^{2}k^{2}\\\Leftrightarrow k=\frac{\omega}{c}

という関係式が得られます。波数は光の振動数により決まることがわかります。

光の波長と色

 以上のことから光の波数は角振動数により決まることがわかります。さらに角振動数は

 \displaystyle\omega=2\pi\frac{c}{\lambda}

より波長に変換できます。よって光は波長によって規定されることがわかります。

 私たちは光の波長によってものの色を識別しています。私たちの目には特定の波長によって反応する視細胞がおり、赤・緑・青によく反応する細胞がそれぞれ存在します。そのため、これらの3つの色を光の3原色と呼びます。ホームページを制作した経験がある人はRGB(Red,Green,Blue)というものを聞いたことがあるでしょう。ディスプレイでは光の三原色の強さの違いにより色を表現しているのです。

 人は光の波長により以下のように色を識別します。

波長と色

(Wikipediaより)

単位はnm(ナノメートル)です。おおよそ数百nmなので、光はすごく細かく振動している波だということがわかります。

 光は重ね波なので重ね合わせの原理が成り立ちます。私たちの身の周りの光は、ただの正弦波ではなく様々な波長の光が重ね合わさってできた光になります。太陽の光も様々な波長の光を含んでおり、光を波長に細かくわけることで太陽で行われている化学反応が何なのかを知る手がかりにもなります。

著者:安井 真人(やすい まさと)