レンズの公式

 カメラ、望遠鏡、顕微鏡などの光学機器においてレンズは当たり前のように使用されます。ここでは、前回学んだ屈折の法則を用いてレンズにおける光の進み方について学習していきます。

光線がガラスビーズを透過する際の解析

レンズから遠い場合

 下の図のように左側が真空(空気と考えても良い)、右側が屈折率nで半径Rガラスを考えます。

レンズ

ガラスからa離れた場所から角度\alphaで光線が出ているとします。そして、点Cにおいて屈折してガラス内を進んでいるものとします。この際、baでどのように表記させるかを計算しましょう。

 図のように\theta,\phiを設定すると、屈折の法則より

 \sin\theta=n\sin\phi

が成り立ちます。図において同位角や三角形の内角の和の関係を使うと

 \theta=\alpha+\gamma,\\\phi=\gamma-\beta

が成り立ちます。ここで、角度\alpha,\beta,\gammaは十分小さい値と考えます。少なくとも90度を超えることはないので悪くない禁じでしょう。すると、それらの和と差である\theta,\phiも小さい値をとります。その結果、テイラー展開による一次近似ができ、屈折の法則は

 \alpha+\gamma=n(\gamma-\beta)

と表記できます。同様にしてテイラー展開による一次近似を使うと

 \displaystyle h=a\tan\alpha\approx a\alpha\Leftrightarrow\alpha=\frac{h}{a},\\h=b\tan\beta\approx b\beta\Leftrightarrow\beta=\frac{h}{b},\\h=R\sin\gamma\approx R\gamma\Leftrightarrow\gamma=\frac{h}{R}

となります。これらの結果より、屈折の法則は

 \displaystyle\frac{1}{a}+\frac{n}{b}=(n-1)\frac{1}{R}

となります。この式より、a\to R/(n-1)の際に、bは無限になることがわかります。

レンズに近い場合

 そして、a<R/(n-1)ではもはや屈折した光線は主軸とは交わらなくなります。

レンズ

この際は図から

 \displaystyle h=a\tan\alpha=a\alpha\Leftrightarrow\alpha=\frac{h}{a},\\ h=b^{\prime}\tan\beta^{\prime}\Leftrightarrow\beta^{\prime}=\frac{h}{b},\\ h=R\sin\gamma\approx R\gamma\Leftrightarrow\gamma=\frac{h}{R}

となり屈折の公式とテイラー展開より

 \displaystyle\sin\theta=n\sin\phi\\\Rightarrow\sin(\alpha+\gamma)=n\sin(\beta^{\prime}+\gamma)\\\Rightarrow\alpha+\gamma\approx n(\beta^{\prime}+\gamma)\\\Rightarrow\frac{1}{a}-\frac{n}{b^{\prime}}=(n-1)\frac{1}{R}

が得られます。

 上記をまとめると、右軸に正をとってbを定めれば

 \displaystyle\frac{1}{a}+\frac{n}{b}=(n-1)\frac{1}{R}

でいいことがわかります。

球面レンズを通る光線

 では、球面レンズを光線がどのように通るのかを解析しましょう。半径R_{1},R_{2}のレンズを考えます。a離れた場所からレーザーが出ており、レンズを通過する状態を考えます。この際のa,bの関係を知りたいわけです。

レンズ

 球体レンズの通過の解析より、もし右側がすべてガラスならAから放たれる光は

 \displaystyle\frac{1}{a}+\frac{n}{b^{\prime}}=(n-1)\frac{1}{R_{1}}

となるb^{\prime}へ集光します。ここで、b^{\prime}は実数値をとり、右方向が正になっています。

 逆に右の点Bから光が左側へ進んだとします。このときは

 \displaystyle\frac{1}{b}-\frac{n}{a^{\prime}}=(n-1)\frac{1}{R_{2}}

となる点A^{\prime}へ集光します。ここで、a^{\prime}は実数で、右方向を正としています。

 点Aを出た光が点Bへいって欲しいので、a^{\prime}=b^{\prime}である必要があります。よって、2つの式を足しあわせて

 \displaystyle\frac{1}{a}+\frac{1}{b}=(n-1)\left(\frac{1}{R_{1}}+\frac{1}{R_{2}}\right)

が得られます。

焦点

無限遠方からの光はレンズを通ると焦点と呼ばれる点へ集光します。そして、レンズと焦点との距離を焦点距離と呼びます。よって、a\to\inftyとすれば、b=fは焦点距離となり、

 \displaystyle\frac{1}{b}=(n-1)\left(\frac{1}{R_{1}}+\frac{1}{R_{2}}\right)\\\Leftrightarrow f=(n-1)^{-1}\left(\frac{1}{R_{1}}+\frac{1}{R_{2}}\right)^{-1}

が焦点距離となります。よって、先ほどの式は

 \displaystyle\frac{1}{a}+\frac{1}{b}=\frac{1}{f}

となり、この式をレンズの公式と呼びます。レンズの公式を用いれば、レンズを光がどのように通過するかを計算できます。だからレンズの公式というのですね。

著者:安井 真人(やすい まさと)