三角比の拡張

拡張

 これまで三角比の計算は角度が鋭角の場合でした。でも、角度って360°とか200°とかもありますよね。そこで、360°とかでも三角比が使えるように定義を拡張しましょうというのが今回のおはなしです。さらに、-20°とか負の数も扱えるようにも拡張していきます。

拡張した三角比の定義

 さっそく拡張した三角比の定義を説明します。

三角比

\thetaを実数とする。

そして、以下の図のようにx軸から角度\thetaの方へ伸ばした直線と単位円(半径1の円)との交点をPとする(角度は弧度法)。

 三角比の定義

このとき、

 \displaystyle\sin\theta=y,\\\cos\theta=x,\\\tan\theta=\frac{y}{x}

と定義する。ただし、x=0となる場合は、\tan\thetaの定義域に入っていないとする。

上記の定義より、sinやcosはどのような角度でも定義できます。以上により、実数\thetaにおける\sin\theta,\cos\theta,\tan\thetaが定義されました。定義からわかりますが、

\sinはy軸、\cosはx軸に投影した影の長さです。

 点Pの座標が(\cos\theta,\sin\theta)となることから当たり前のことですね。

三角比の値の範囲

 では、三角比が取りうる範囲について考えていきます。定義からPは半径1上の点なのでPのx,y座標であるsinやcosの範囲は

 -1\leq\sin\theta\leq 1,\\-1\leq\cos\theta\leq1

となります。一方、\tan\thetaは任意の実数値をとることができます。

負の場合

 では、角度が負の場合はどう考えればいいかを考えます。\sin(-\pi)のように負の場合は、時計周りに-\pi回ったところとかんがえます。

 変数がマイナスの場合の三角比

よって、\sin(-\pi)=0となります。それと、\sinはy軸に投影した影の長さなので、

 \sin(-x)=-\sin x

となります。また、\cosはx軸に投影した影の長さなので、

 \cos(-x)=\cos x

となることがわかります。この関係式もよく使用します。

2πを超えた場合

 \sin3\piのように2\piを超えた場合は

 3\pi=2\pi\times 1+\pi

と一周半と考えて

 \sin3\pi=\sin\pi=0

となります。よって、任意の整数nにたいして

 \sin(2\pi n+\theta)=\sin\theta,\\\cos(2\pi n+\theta)=\cos\theta,\\\tan(2\pi n+\theta)=\tan\theta

となります。

次の値を計算せよ。

  1. \displaystyle\sin\frac{\pi}{4}
  2. \displaystyle\cos\left(-\frac{\pi}{2}\right)
  3. \tan\left(-11\pi\right)

\displaystyle\frac{\pi}{4}は45°を意味しています。よって、

 \displaystyle\sin\frac{\pi}{4}=\frac{1}{\sqrt{2}}

になります。

マイナスの場合は時計回りに回ります。よって、

 \displaystyle\cos\left(-\frac{\pi}{2}\right)=0

となります。

 11\pi=2\pi\times 5+\pi

なので、時計回りに5周半回ったことになります。よって、

 \tan\left(-11\pi\right)=\tan\left(-\pi\right)

となります。よって、

 \tan\left(-11\pi\right)=0

が答えです。

著者:安井 真人(やすい まさと)