数ベクトル

数ベクトル

これまで幾何ベクトルについて考えてきました。

ここでは、数ベクトルという考え方を紹介します。

そして、幾何ベクトルと数ベクトルは同じ構造になっていることについて解説します。

数ベクトルとは

これまでは実数一つの集合について考えてきました。

ここでは実数\mathbb{R}二つの積の集合\mathbb{R}\times \mathbb{R}=\mathbb{R}^{2}について考えます。

ユークリッド空間

集合\mathbb{R}^{2}二次元ユークリッド空間と呼ぶ。

そして、二次元ユークリッド空間の要素を

 \left(\begin{array}{c}a_{1}\\a_{2}\end{array}\right)

もしくは

 \left(a_{1},a_{2}\right)

とかく。ここで、(a_{1},a_{2})成分a_{1},a_{2}をそれぞれx,y成分と呼ぶ。

ちなみに次数は一次元ユークリッド空間になります。

名前が難しそうですが、ただたんに2つの数を組として考えただけです。

座標のようなものをイメージするといいと思います。

\mathbb{R}\times \mathbb{R}の要素としては

 (1,2),(-1,0),(0,0),(1.2,\sqrt{2})

などがあげられます。

次元をn次元に拡張したn次元ユークリッド空間は

 \mathbb{R}\times\mathbb{R}\times\ldots \times \mathbb{R}=\mathbb{R}^{n}

となります。

足し算

ここまでは、単に実数の積で面白くないので演算を導入していきます。

まずは足し算です。

ユークリッド空間上の点の足し算+:\mathbb{R}^{2}\times \mathbb{R}^{2}\to \mathbb{R}^{2}

 (x_{1},y_{1})+(x_{2},y_{2})=(x_{1}+x_{2},y_{1}+y_{2})

と定義する。

例えば

 (1,2)+(3,4)=(1+3,2+4)=(4,6)

となります。

定数倍

続いて定数倍です。

定数倍

定数倍(\mathbb{R}\times \mathbb{R}^{2}\to \mathbb{R}^{2})

 a(x,y)=(ax,ay)

と定義する。

例えば

 3(2,1)=(3\times 2,3\times 1)=(6,3)

と計算できます。

引き算

最後に引き算の定義です。

引き算-:\mathbb{R}^{2}\to \mathbb{R}^{2}

 -(x,y)=(-1)(x,y)

と定義する。そして、(a,b)+(-(c,d))=(a,b)-(c,d)とかく。

これを導入することで

 (1,2)-(3,4)=(1,2)+(-(3,4))=(1,2)+(-3,-4)=(1-3,2-4)=(-2,-2)

と計算することができます。

ちなみに上記のような定義で実数の積の集合\mathbb{R}^{n}に足し算や定数倍を加えたものを数ベクトル空間といいます。

ベクトル空間は大学の線形代数で習う概念でう、線形微分方程式を解いたり多くの場所で使用される概念です。

幾何ベクトルと数ベクトルの関係

以上の数ベクトルの定義を聞くと、幾何ベクトルと同じような印象をうけます。

実際に幾何ベクトルと数ベクトルは対応して同じものです。

例えば、

ab

のような幾何ベクトルは、座標軸を導入すれば

12

数ベクトルにより

 \overrightarrow{AB}=(2,1)

と表記できます。

座標を導入することで、幾何ベクトルと数ベクトルはつながるのです。

幾何ベクトルで直感的なイメージを得て、数ベクトルで計算するという使い方ができるのでこの関係性は便利です。

著者:安井 真人(やすい まさと)