内積と大きさ

内積と大きさ

前回、数ベクトル空間を導入しました。

また実数の導入の際に、絶対値のように数の大きさを計るものさしを導入しました。

そこで今回数ベクトル空間にものさしである内積を導入します。

 内積とは

ものさしをつくるためにはじめにベクトルから実数へ変換する写像を導入します。

内積

\cdot :\mathbb{R}^{2}\to \mathbb{R}

 \left(\begin{array}{c}x_{1}\\x_{2}\end{array}\right)\cdot \left(\begin{array}{c}y_{1}\\y_{2}\end{array}\right)=x_{1}y_{1}+x_{2}y_{2}

と定義し、内積(ないせき)と呼ぶ。

例えば、

 (1,2)\cdot(3,4)=1\times 3+2\times 4=3+8=11,

 \left(\begin{array}{c}-1\\2\end{array}\right)\cdot \left(\begin{array}{c}-1\\2\end{array}\right)=1+4=5

と計算できます。

幾何ベクトルの内積

では、幾何ベクトルの内積を紹介します。

幾何ベクトルの内積

幾何ベクトル\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB}の内積は\theta=\angle AOBとし

 \overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}=|\overrightarrow{OA}||\overrightarrow{OB}|\cos\theta

とする。

すると数ベクトルと幾何ベクトルが一致することがわかります。

実際に\vec{a}=\overrightarrow{OA}=(a_{1},a_{2}),\vec{b}= \overrightarrow{OB}=(b_{1},b_{2})によりできる\triangle OABを考えると

 |\overrightarrow{AB}|^{2}=|\vec{b}-\vec{a}|^{2},

 =|(b_{1}-a_{1},b_{2}-a_{2})|^{2},

 =(b_{1}-a_{1})^{2}+(b_{2}-a_{2})^{2},

 =(a_{1}^{2}+a_{2}^{2})+(b_{1}^{2}+b_{2}^{2})-2(a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2}),

 =|\vec{a}|^{2}+|\vec{b}|^{2}-2\vec{a}\cdot\vec{b},

 =|\overrightarrow{OA}|^{2}+|\overrightarrow{OB}|^{2}-2\overrightarrow{OA}\cdot \overrightarrow{OB}・・・(1)

 

となります。ここで余弦定理を適用すると

 AB^{2}=OA^{2}+OB^{2}-2OA\times OB\times \cos \theta,

 = |\overrightarrow{OA}|^{2}+|\overrightarrow{OB}|^{2}-2|\overrightarrow{OA}|\times |\overrightarrow{OB}|\times \cos \theta・・・(2)

よって式(1)と(2)より

 \overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}=|\overrightarrow{OA}| |\overrightarrow{OB}| \cos \theta

が得られます。

ベクトルの大きさ

次に、ベクトルの大きさを以下のように定義します。

ベクトルの大きさ

ベクトル\vec{a}の大きさを

 |\vec{a}|=\sqrt{\vec{a}\cdot \vec{a}}

と定義する。

これがベクトルでいう絶対値ということになりますね。

例えば、(1,2)の大きさは

 |(1,2)|=\sqrt{(1,2)\cdot (1,2)}=\sqrt{1+4}=\sqrt{5}

となります。

著者:安井 真人(やすい まさと)