数の連続性

戦い

実数と有理数の違いについて考えます。有理数と実数の違いは

\sqrt{2},e,\pi

を実数は含むけど、有理数は含まないという点にあります。しかし、これでは違いが曖昧なので、もう少しすっきりした違いの言い方ができないか考えます。

 先ほどの違いは、有理数では所々に切れ目があるけど、実数には切れ目がないことを意味しています。

有理数は連続でない

図のように有理数には穴(白丸)が至る所に存在しています。この点に注目すれば有理数と実数の違いが分かりそうです。

切断

有理数を二つの組に分けてみましょう.例えば、基点を\piとして有理数\mathbb{Q}

A=\{x|x<\pi,x\in \mathbb{Q}\},

B=\{x|x>\pi,x\in \mathbb{Q}\}

と分けます.するときれいに分けられていることがわかります.このように大小により数を二つの組に分けることを切断と言います。

 実数の場合について同様に切断してみると

A=\{x|x\leq\pi,x\in \mathbb{R}\},

B=\{x|x>\pi,x\in \mathbb{R}\}

という切断と

A=\{x|x<\pi,x\in \mathbb{R}\},

B=\{x|x\geq\pi,x\in \mathbb{R}\}

という切断の二通りが考えられます.有理数の場合は,有理数の部分で切断すれば切断の仕方は2通りです.しかし,無理数の部分で切断すれば一通りに確定します.一方,実数では,かならず2通りの切断が考えられます.この点が実数と有理数の違いとなりそうです.

 逆に切断(A,B)が与えられたとしましょう.例えば,

A=\{x|x<\pi,x\in \mathbb{R}\},

B=\{x|x\geq\pi,x\in \mathbb{R}\}

とします.すると切断(A,B)から切断する点\piを得ることができます.実数の場合はかならず切断が与えられたら,切断する点が得られます.一方,有理数では,切断が

A=\{x|x<\pi,x\in \mathbb{Q}\},

B=\{x|x>\pi,x\in \mathbb{Q}\}

と与えられても,切断する点は\piであり,有理数に属しません.よって,切断する点は得られません.

 以上の考察より、有理数は切断して二つに分けると、上の組の最小値や下の組の最大値は必ずしも有理数とならないことがわかります。一方、実数では、どこで切断しても、上の組の最小値や下の組の最大値は必ず実数に含まれます。これを実数の連続性と呼びます。

切断

実数を切断すると、上の組と下の組の境界として一つの実数が得られる。

この定理が実数と有理数の違いを分ける上で重要となります。

著者:安井 真人(やすい まさと)