イプシロン・デルタ(ε-δ)論法

数列の極限を考える際、

「イプシロン・エヌ論法」

という考え方を導入し定義しました。

関数の極限を考える際は

「イプシロン・デルタ論法」

という考え方を導入します。

ただ離散値(エヌ)が連続値(デルタ)に変わっただけで考え方はイプシロン・エヌ論法と同じです。

 

関数の極限

関数f(x)x\to aのとき\alphaへ収束することを

 \lim_{x\to a}f(x)=\alpha

とかき、イプシロン・デルタ論法を使ってつぎのように定義します。

 

「任意に正数\epsilon>0をとるとき、ある正数\delta>0が存在して

|x-a|<\delta,x\neq aならば|f(x)-\alpha|<\epsilon

が成り立つ」

 

例を使って考える

定義だけだと分かりづらいので例を使って考えましょう。

例として

 f(x)=x^{2}

とし

 \lim_{x\to 1}x^{2}=1

をイプシロン・デルタ論法で考えてみましょう。

 

まず、任意の正数をとります。

例えば、\epsilon=0.1を取ったとします。そして、

 |x-1|<\deltaならば|x^{2}-1|<0.1

となる正数\delta>0を探します。そこで

 \delta=0.1

とすれば

 |x-1|<0.1 \Leftrightarrow 0.9<x<1.1 \Leftrightarrow 0.81<x^{2}<1.21

となり

 |x^{2}-1|<0.1\Leftrightarrow 0.9<x^{2}<1.1

を満たすことがわかります。

 

以上の操作をすべての\epsilonで行うのです。

これがイプシロン・デルタ論法です。

基本的にイプシロン・エヌ論法とおなじですね。

 

ちゃんと証明する

先ほどの

 \lim_{x\to 1}x^{2}=1

を証明します。

 

【証明】

まず任意の正数\epsilon>0をとります。また、

 |x-1|<\delta \Leftrightarrow 1-\delta<x<1+\delta \Leftrightarrow (1-\delta)^{2}<x^{2}<(1+\delta)^{2}

となり

 |x^{2}-1|<\epsilon\Leftrightarrow 1-\epsilon<x^{2}<x^{2}<1+\epsilon

なので

 1-\epsilon<(1-\delta)^{2},(1+\delta)^{2}<1+\epsilon,

 \Leftrightarrow 2\delta \pm\delta^{2}<\epsilon

となるように小さく\deltaをとればいいです。そこで\delta<1となるようにとれば

 2\delta\pm\delta^{2}\leq 2\delta+\delta^{2}<2\delta +\delta=3\delta

なので

 3\delta <\epsilon

となるように\deltaをとればいいことになります。そこでたとえば

 \delta=\epsilon/4

とすればいいことになります。以上で証明終了です。

 

補足

「任意に正数\epsilon>0をとるとき、ある正数\delta>0が存在して

 |x-a|<\delta,x\neq aならば|f(x)-\alpha|<\epsilon

が成り立つ」

x\neq a

とあります。これによりたとえば

 f(x)=0,(x\neq 0),,

 f(x)=1,(x=0)

という関数があるときは

 \lim_{x\to 0}f(x)=0

となり

 f(0)=1

となります。よって、一般に

 \lim_{x\to a}f(x)\neq f(a)

ということになりますね。

著者:安井 真人(やすい まさと)