実数の定義その2

天秤

 前の講義で「実数は体である」ことを述べました。実数は足し算や掛け算の他にも、数の大小に関する性質を持っています。そこで、今回は実数の順序に関する性質について解説します。

定義2.実数の順序

 では、実数の定義の二番目である「順序」を以下に記述します。読み流すことなく、しっかり意味を理解してください。

実数の性質2

実数において、任意のa,b\in \mathbb{R}に対して

abより大きい」

という関係a\geqq bという関係が存在する。そして以下の6つの性質を満たす。

  1. 反射律:a\geqq a
  2. 反対称律:a\geqq b,b\leqq a
  3. 推移律:a\geqq b,b\geqq c\Rightarrow a\geqq c
  4. 全順序性:a\geqq bもしくはb\geqq aの少なくとも一方が成り立つ。
  5. a\geqq b\Rightarrow a+c\geqq b+c
  6. a\geqq0, b\geqq0\Rightarrow ab\geqq0

大小の当たり前の性質を定義として使用したかんじです。

 さらに付け加えで、正と負についての定義についても述べます。

正と負

a\geqq bかつa\neq bの関係をa<bとかく。そして、a>0となる実数aといい、a<0となる実数aという。

簡単な命題の証明

では定義を利用していくらか命題を証明していきましょう。

移項

 a\geqq 0\Leftrightarrow 0\geqq -a

性質5を使えば

 a\geqq0 \\\Leftrightarrow a+(-a)\geqq 0+(-a)\\\Leftrightarrow 0\geqq -a

が成り立ちます。

二乗はゼロ以上

 a^{2}=(-a)^{2}\geqq 0

これはもしa\geqq 0なら性質6より

 a^{2}\geqq 0

が成り立ちます。もしa\leqq 0なら

 a^{2}=(-a)^{2}\geqq 0

となります。

実数には大小がある。大小では反射律・反対称律・推移律・全順序性などの6つの性質がある。大小の公式は大小の定義より導くことができる。

著者:安井 真人(やすい まさと)