2次元の行列式

行列式

2次元の行列式を説明します。

3次元、4次元とあるのですが、とりあえず2次元だけでもおさえておきましょう。

行列式

いきなりですが行列式を以下のように定義します。

行列式

行列

 A=\left(\begin{array}{cc}a&b\\c&d\end{array}\right)

の行列式をad-bcと定義し、

 |A|,\det A,\left|\begin{array}{cc}a&b\\c&d\end{array}\right|

とかく。また、

 \textbf{\emph{x}}=\left(\begin{array}{c}a\\c\end{array}\right),\textbf{\emph{y}}=\left(\begin{array}{c}b\\d\end{array}\right)

とした場合、\det (\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})とかく場合もある。

「なんでこうやって定義するの?」

と聞かれたら、このように定義すると何かと便利だからです(逆行列、クラメールの公式など)。もちろん

 |A|=a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}

でもいいのですが、この値はあまり出てこない。出てこない値よりも出てくる値を定義したほうがいいですよね。この行列式はいわば「行列の絶対値」なのですが、負の数も取りうることに注意しましょう。

行列式に関する定理

いくつか行列式に関する定理を紹介します。

その1

 \det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})=-\det(\textbf{\emph{y}},\textbf{\emph{x}})

 \det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})\\=ad-bc\\=-(bc-da)\\=\det(\textbf{\emph{y}},\textbf{\emph{x}})

その2

 \det(\textbf{\emph{x}}_{1}+\textbf{\emph{x}}_{2},\textbf{\emph{y}})=\det(\textbf{\emph{x}}_{1},\textbf{\emph{y}})+\det(\textbf{\emph{x}}_{2},\textbf{\emph{y}})

 \det(\textbf{\emph{x}}_{1}+\textbf{\emph{x}}_{2},\textbf{\emph{y}})\\=(a_{1}+a_{2})d-b(c_{1}+c_{2})\\=(a_{1}d-bc_{1})+(a_{2}d-bc_{2})\\=\det(\textbf{\emph{x}}_{1},\textbf{\emph{y}})+\det(\textbf{\emph{x}}_{2},\textbf{\emph{y}})

その3

 \det(\alpha\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})=\alpha\det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})

 \det(\alpha\textbf{\emph{a}},\textbf{\emph{b}})\\=(\alpha a)d-b(\alpha c)\\=\alpha(ad-bc)\\=\alpha\det(\textbf{\emph{a}},\textbf{\emph{b}})

その4

 \textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}が線形独立\Leftrightarrow\det (\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})\neq 0

まともに証明するのは大変そうなので、対偶を証明しましょう。対偶は

\det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})=0\Leftrightarrow\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}は線形従属」

です。これなら簡単に証明できそうです。まず、

 \det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})=ad-bc=0

を使って、\textbf{\emph{x}}\textbf{\emph{y}}が線形従属であることをいいます。すなわち、

 a=kb,c=kd

となるkの存在を示します。\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}はゼロベクトルではないのでb,dが同時に0にはなりません。そこで、b\neq 0としてはなしをすすめます。この場合

 \displaystyle k=\frac{a}{b}

とすれば、

 \displaystyle kd=\frac{ad}{b}=\frac{bc}{b}=c

となるので、\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}は線形従属です。d\neq 0の場合も同様です。

 

次に逆を証明します。\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}が線形従属なら

 \textbf{\emph{x}}=k\textbf{\emph{y}}

となる実数kがあります。よって

 \det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})=ad-bc=akc-kac=0

となります。

証明はしませんが、知っておくと便利なことを一つ。

\det(\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}})はベクトル\textbf{\emph{x}},\textbf{\emph{y}}がつくる平行四辺形の面積と等しいです。

これを使うと、ふたつのベクトルがつくる三角形の面積も簡単に計算できます。

著者:安井 真人(やすい まさと)