行列のトレース

トレース

行列からある実数値を得る関数である「トレース(跡)」について説明します。線形代数では対角成分の和が重要になる場合があるので、その演算を学びます。

行列のトレース

行列のトレースとは対角成分を足すだけです。例えば、

 A=\left[\begin{array}{cc}1&2\\3&4\end{array}\right]

のトレースは

 tr(A)=1+4=5

となります。簡単ですね。以下に定義をまとめておきます。

トレース

行列Aのトレースとは対角要素を足した

 \displaystyle tr(A)=\sum_{i=1}^{n}a_{ii}

である。

トレースの公式

いくつかトレースに関する公式についてみていきましょう。

その1

 tr(\alpha A)=\alpha tr(A)、ここで\alphaは実数です。

 \displaystyle tr(\alpha A)\\=\sum_{i=1}^{n}(\alpha a_{ii})\\=\alpha\sum_{i=1}^{n}a_{ii}\\=\alpha tr(A)

その2

 tr(A+B)=tr(A)+tr(B)

 \displaystyle tr(A+B)\\=\sum_{i=1}^{n}a_{ii}+b_{ii}\\=\sum_{i=1}^{n}a_{ii}+\sum_{i=1}^{n}b_{ii}\\=tr(A)+tr(B)

その3

 tr(AB)=tr(BA)

これは少し難しようですが、以下のようにして証明します。

 \displaystyle tr(AB)\\=\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_{ij}b_{ji}\\=\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}b_{ji}a_{ij}\\=\sum_{j=1}^{n}\sum_{i=1}^{n}b_{ji}a_{ij}\\=tr(BA)

以上でトレースの解説は終わりです。お疲れ様でした。

著者:安井 真人(やすい まさと)