線形従属と線形独立に関する定理

線形従属と独立に関する定理

前回、線形従属と線形独立について学びました。

ここでは、線形従属と線形独立において成り立つ定理を紹介し証明します。

線形従属と独立の復習

はじめに線形従属と線形独立の定義を復習します。

線形従属

ベクトル\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}において

線形結合:c_{1}\mathbf{a}_{1}+c_{2}\mathbf{a}_{2}+\cdots+c_{k}\mathbf{a}_{k}=\mathbf{0}

c_{1}=c_{2}=\cdots=c_{k}=0以外で成り立つ組み合わせが存在するとき、\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}は線形従属といいます。

線形独立

線形従属でない場合を線形独立といいます。

以上、線形従属と線形独立の定義です。定理を証明する際に使用するので、しっかり理解しておきましょう。

線形従属と独立に関する定理

定理1

\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形従属であることと、そのうちの一つのベクトルが他のk-1個のベクトルの線形結合として表されることは同値である。

まず、\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形従属であると仮定します。

すると

 c_{1}\mathbf{a}_{1}+c_{2}\mathbf{a}_{2}+\cdots+c_{k}\mathbf{a}_{k}=\mathbf{0}

で、c_{1},c_{2},\cdots,c_{k}=0以外の組み合わせが存在します。つまり、c_{p}\neq 0となるpが存在します。

よって、

 \displaystyle\mathbf{a}_{p}=-\frac{c_{1}}{c_{p}}\mathbf{a_{1}}-\cdots-\frac{c_{p-1}}{c_{p}}\mathbf{a}_{p-1}-\frac{c_{p+1}}{c_{p}}\mathbf{a}_{p+1}-\cdots-\frac{c_{k}}{c_{p}}\mathbf{a}_{k}

が得られます。

 

次に、あるpに対して

 \mathbf{a}_{p}=b_{1}\mathbf{a}_{1}+\cdots+b_{p-1}\mathbf{a}_{p-1}+b_{p+1}\mathbf{a}_{p+1}+\cdots+b_{k}\mathbf{a}_{k}

が成り立つとします。すると

 b_{1}\mathbf{a}_{1}+\cdots+b_{p-1}\mathbf{a}_{p-1}-\mathbf{a}_{p}+b_{p+1}\mathbf{a}_{p+1}+\cdots+b_{k}\mathbf{a}_{k}=\mathbf{0}

となります。これは、\mathbf{a}_{1},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形従属であることを意味します。

定理2

\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形独立であり\mathbf{a}\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}の線形結合で表されないならば、k+1個のベクトル\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k},\mathbf{a}も線形独立である。

はじめに、\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形独立であるとします。

そして、線形結合

 c_{1}\mathbf{a}_{1}+\cdots+c_{k}\mathbf{a}_{k}+c\mathbf{a}=\mathbf{0}

を考えます。ここでc\neq 0なら、

 \displaystyle\mathbf{a}=-\frac{c_{1}}{c}\mathbf{a}_{1}-\cdots-\frac{c_{k}}{c}\mathbf{a}_{k}

とかけ、仮定に反します。ですから、c=0となります。

すると、

 c_{1}\mathbf{a}_{1}+\cdots+c_{k}\mathbf{a}_{k}=\mathbf{0}

が得られます。\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}が線形独立なのでc_{1}=\cdots=c_{k}=c=0となります。

ですから、\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k},\mathbf{a}は線形独立になります。

定理3

ベクトル\mathbf{c}\mathbf{b}_{1},\mathbf{b}_{2},\cdots,\mathbf{b}_{l}の線形結合であり、\mathbf{b}_{i}(i=1,2,\cdots,l)\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}の線形結合なら、\mathbf{c}\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}の線形結合でかける。

まず、

 \displaystyle\mathbf{c}=\sum_{i=1}^{l}c_{i}\mathbf{b}_{i},\\\mathbf{b}_{i}=\sum_{j=1}^{k}b_{ij}\mathbf{a}_{j}

とします。すると

 \displaystyle\mathbf{c}=\sum_{i=1}^{l}c_{i}\mathbf{b}_{i}=\sum_{i=1}^{l}c_{i}\sum_{j=1}^{k}b_{ij}\mathbf{a}_{j}=\sum_{i=1}^{l}\left(\sum_{j=1}^{k}c_{i}b_{ij}\right)\mathbf{a}_{j}

となります。これは\mathbf{c}\mathbf{a}_{1},\mathbf{a}_{2},\cdots,\mathbf{a}_{k}の線形結合でかけることになります。

著者:安井 真人(やすい まさと)