振り子の運動
カテゴリ:力学

前回、極座標について解説しました。今回はこの極座標を使って振り子の運動を解いていきます。振動する運動なので、バネの運動の復習もしておいていください。
振り子の運動を解く
まず、以下のような長さで質量
の振り子を考えます。
ここでは紐にかかる張力を表します。そして、運動方程式を立てると
,・・・(1)
・・・(2)
・・・(3)
となります。ここで
を意味します。
また、式(3)は質点が半径上でしか運動できないという拘束条件です。もちろん、
という奥行きへ移動しない点も拘束条件としてあります。
極座標へ変換
式(1)と(2)にはまだが入っていて極座標になっていません。そこで、
・・・(4)
を式(1)と(2)に代入していきます。この変換には拘束条件(3)はすでに含まれています。代入する前に式(1)と(2)のを
式(1)×―式(2)×
により消去します。計算すると
・・・(5)
となります。代入するため、式(4)を時間で微分すると
となり、さらに微分すると
となります。これを式(5)に代入すると
・・・(6)
が得られます。
近似して解く
式(6)は解くことは困難です。そこで、のように微小振動している場合について式(6)を解くことにします。
なので、テイラー展開より
という近似が使え、式(7)は
・・・(8)
となります。テイラー展開とは、n次関数による近似のことです。
今回のは
が小さい時
と一次関数で近似することが可能です。
式(8)はバネの運動と同じなので、その際の知識を使って
となります。は初期条件より決定することができます。
二階の線形微分方程式は解が見つかれば、一般解が
となります。今回の場合は、
が解なので
が一般解となります。
ここで振り子の周期を計算すると
となります。この式をみると、糸の長さが長いほど周期が長くなることがわかります。5円玉と糸があればできるので試してみてください。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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