熱力学第一法則
カテゴリ:熱力学

前回、箱に入った理想気体についてはなしました。そして、理想気体は状態方程式
・・・(1)
を満たし、内部エネルギーは温度とモル数だけの関数となることを導きました。
・・・(2)
ここでは、理想気体の入った箱に力を加え少し圧縮することを考えます。圧縮すると外部よりした仕事は
となります。理想気体全体に仕事をしたことになるので、理想気体の内部エネルギーは増えるはずです。よって、内部エネルギーの増加分はエネルギー保存則より
・・・(3)
となります。
次に、理想気体の入った箱を熱することを考えます。理想気体を熱するとどうなるでしょうか?当然、熱くなりそうなので温度が上がりそうです。で、温度が上がると内部エネルギーが上昇します。そのエネルギー増加分は式(2)から
です。よって、エネルギーが供給されたことになります。今回は、とくに外部から仕事をしたわけではありません。そこで、今回のように仕事以外の形でエネルギーを与えるものを熱としと書くことにします。よって、
・・・(4)
となります。
式(3)と式(4)をまとめると
となり、熱力学第一法則と呼びます。ここで
:内部エネルギーの上昇量
:理想気体全体にした仕事
:理想気体全体に与えた熱
です。熱力学第一法則はただのエネルギー保存則なので、あまり驚かなくてもいいですよ。高校物理では、熱力学第一法則しか使いません。ですから、これまでの内容をマスターしていれば高校物理の熱力学は解けることになります。よって、以後は熱力学第一法則を用いていろいろな問題を解いていきます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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