波動方程式の解の性質
カテゴリ:波動

前回、弦の波動方程式
を導きました。今回は波動方程式の解について考えていきます。
解の模索
まず、いろいろと解を模索するため、
を試しに式に代入してみましょう。この関数は
,
なので
となることがわかります。これと波動方程式を比べると
とすれば一致します。ですから
,
は波動方程式の解の一つであることがわかります。
解の一般化
上記のことを一般化すると
が波動方程式の解となることがわかります。ここで関数は好きなものを選んでください。ただし、弦の両端は固定してあるので、両端でゼロとなる関数です。実際に、関数
を偏微分(2つある変数のうち片側が一定とみなし微分)すると
となり
が得られます。も同様です。
進行波と後退波
は
で原点
にある値
が、
では
となるので、速度でx軸正の方向へ進んでいることがわかります。そのため
を進行波と呼びます。
一方は同様の考え方をすると、速度
でx軸負の方向へ進んでいます。そのため
を後退波と呼びます。
以上のことから、弦での波の伝わる速さは
となります。つまり、弦を強く引けば引くほど、軽い素材ほど波はすばやく伝わります。糸電話で素早く通信したい場合は、強く糸を引きましょう(ただし、壊れない程度に)。
重ね合わせの原理
さらに波動方程式について調べると解が
と二つある場合、これらの組み合わせ
も解であることがわかります。実際に
,
にそれぞれをかけて足すと
,
,
となることからわかります。これを重ね合わせの原理といいます。
波動方程式の解の性質のまとめ
波動方程式
の解は進行波と後退波
の重ね合わせ
で表すことができます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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