波の反射
カテゴリ:波動

再び弦の運動について考えましょう。弦の運動は波動方程式に従うので、解は進行波と後退波を重ね合わせた形になります。例えば、進行波を、後退波を
とすれば、波は
で記述できます。ここで、は波の速度です。
固定端での波の反射
進行波が弦の端にたどり着いたらどうなるかについて考えます。ここでは、弦の端を原点にとり、進行波が左からくるとします。弦の端では弦は上下に動けないように固定されているので
・・・(1)
となります。式(1)が成り立つ端を固定端(こていたん)と呼びます。また、進行波を
とします。よって、はじめのうちは
が成り立ちます。
しかし、進行波が端にあたるとこれでは式(1)がなりたたなくなります。そこで、後退波を加える必要があります。すると
となります。ここで、式(1)を使えば
が任意のについて成り立つので
となります。これは、関数が関数
と原点対象になっていることを示しています。よって、
が解となります。このことから、波が弦の端にあたると反転して戻ってくることがわかります。この現象を波の反射と呼びます。
自由端での波の反射
固定端では、端で振幅が0でした。ここでは、端で微分値が0の場合
・・・(2)
について考えます。このような端のことを自由端(じゆうたん)といいます。図は自由端の例です。黄色い固定された棒に赤いリングとひもが取り付けられています。そして、赤いひもは引っ張られています。こうすると自由端になります。ただし、リングと黄色い棒の摩擦はないものとします。さて、式(2)が成り立たなければいけないので、進行波をとし後退波を
とすれば
となるので式(2)より
が任意のについて成り立ちます。よって
となり、これを積分すると
となります。
進行波がないときは後退波もないので
が成り立ちます。よって、自由端の場合は波が反転しないで帰ってくることになります。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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