アルキメデスの原理
カテゴリ:微積分
高校では
・・・(1)
を当たり前のものとして考えてきました.
今回は,式(1)を証明します.
式(1)を別のいい方でいうと次の定理となります.
定理6’:アルキメデスの原理
任意の二つの実数に対して,
となる自然数
が存在する.
式(1)は言い換えると
「任意の実数に対して,
となる自然数
が存在する」
なので,アルキメデスの原理においての場合と同じです.
ですから,式(1)はアルキメデスの原理より導かれます.
では,アルキメデスの原理を証明します.
【証明】
いま,任意の実数をとります.
証明することは実数は数列
の上界でないということです.
仮に,実数が上界なら,定理6「有界な単調数列は収束する」より,数列
は上限
へ収束します.
上限の意味から,
・・・(2)
が任意の自然数で成り立ちます.
また,なので
となります.が上限なので,
は上界とはなりません.なぜなら,上限とは上界の最小値だからです.
よって,
となる自然数が存在します.しかし,これは式(2)と矛盾します.
よって,背理法よりアルキメデスの原理が証明されました.
アルキメデスの原理の応用例1
では,応用例として
・・・(3)
を証明してみましょう.
式(3)は
「任意の実数に対して,
となる自然数
がある」
となります.
そこで,まず任意の実数をとります.
そして,アルキメデスの原理より,
が成り立ちます.式変形すれば
なので式(3)が証明されました.
アルキメデスの原理の応用例2
・・・(4)
を証明します.そこで,数学的帰納法で
・・・(5)
を証明します.まず,のときは
で成り立ちます.また,のとき成り立つとすると
となり,の場合も成り立ちます.
以上より式(5)は証明されました.
式(5)と式(3)より式(4)が得られます.
著者:安井 真人(やすい まさと)
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