連続関数の一様性
カテゴリ:微積分

連続関数の性質の最後となりました。
一様性についての定理を証明していきます。
さっそくですが定理を述べます。
定理14【連続の一様性】
有界な閉区域において、
は連続とする。すると任意の正数
に対して、ある正数
が存在して、区域
の任意の点
に対して
ならば
がなりたつ。
解説
いきなり一様といわれてもピンとこないと思うので解説します。
一様とは、
「急激に変わらない」
ということだと思ってください。
たとえば、単位ステップ関数(右図)の場合、で急激に変わります。
よって単位ステップ関数は原点で一様ではありません。
また
も原点付近で急激に変化するので一様ではありません。
実際に任意の正数を1として考えるといくらを小さくしても原点付近に点
をとれば
は成り立ちません。
では連続関数の一様性の証明にかかります。
証明
領域
に属する点
を中心として半径
の円をかいて、その周上と内部の点の集合を
とします(右図の円)。
そして、のどちらにも属する領域を
とします(右図の赤色の領域)。
は有界な閉集合なので「連続関数の最大値と最小値の定理」から
において関数
に最大値と最小値が存在します。
最大値と最小値の差を変動量といいとかくことにします。
閉集合の変動量を
とします。
そして任意の正数をとります。
もし、任意の正数に対して
が成り立てば定理は証明されるので、ある正数
に対して
の場合を証明します。
この場合、を満たす
には上限があり、
とおきます。
は
の関数なので
とかきます。
またがなりたつことが以下のようにして導かれます。
まず、関数は連続なので十分小さい
をとれば、
に属する任意の二点
について
が成り立ちます。よって
が得られます。これよりとなり
が得られます。
ゆえにとなります。
つぎにが連続関数であることを示します。
そして、円との交点を
とおきます。
よりも小さい半径で中心
の円は、円
に含まれます。
よってその円内のの振動は、
よりも小さくなります。
従って、となります。
一方、を中心として
よりも大きい半径をゆうする円は円
を含むので、その中の振動量は円
よりも大きくなります。
よって、が得られます。
ゆえに、
,
が得られます。これはを限りなく
へ近づければ、
となることになり、関数
は連続であることを意味します。
有界な閉区間において連続な関数
は最小値をもちます(定理13.連続関数の最大値と最小値の定理)。
それをとおくと、
で
が得られます。
これはとなるとき
を意味し、定理が証明されます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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