逆関数の微分
カテゴリ:微積分

逆関数の微分について解説します。
逆関数を微分する前に、まず逆関数とはなにかについて解説します。
逆関数
区間
において連続な関数
は、区間
において最大値
と最小値
をもちます(定理13「最大値・最小値の定理」より)。
また中間値の定理(定理12)より、は区間
の任意の値をとることができます。
が単調な場合に限り、
と
は一対一に対応します。
よって、を
の変数とみてやれば
とかくことができます。この関数を
の逆関数といいます。
※注意
単調な関数の場合に逆関数が存在することに注意してください。
例えば、区間が実数として
の場合だと、に対応する
の値は
と二つ出てくるので逆関数をつくることができません。
もし区間をとしてやれば、単調増加関数となるので
が逆関数となります。
逆関数の微分
では逆関数の微分についての以下の定理を証明します。
定理18. 逆関数の微分
ある区間においての関数
が連続で単調なら、
の変動区間において
を変数として
の逆関数が定義される。逆関数も連続かつ単調である。
もしも、が
の関数として微分可能ならば
も
で微分可能で
が成り立つ。
例
先ほどのべた区間における関数
の場合は
なので
となります。
証明
逆関数が確定することはさきほどの説明で述べました。
そこでとおき、
が単調であることを証明します。
まず、となる
をとり、それに対応する
を
とします。
すると、は単調なので
単調増加の場合は、となり、
単調減少の場合は、となります。
よって、
単調増加:,
単調減少:
が成り立つので、逆関数が単調であることがわかります。
次に逆関数が連続であることを証明します。
いまを
へ収束する任意の単調数列とします。
すると、それに対応する数列も単調かつ有界なのである極限値
へ収束します。
また、は連続関数なので
がなりたちます。左辺は
となるので
が得られます。これは
のとき、
となり逆関数が連続であることを意味します。
最後に逆関数の微分を計算します。
を
の微小変化とすれば、それに対応する
の微小変化
は0にはなりません。
なぜなら、関数は単調だからです。
よって
が成り立ち、極限のとき
なので
が得られます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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