集合と写像
カテゴリ:線形代数

線形代数を学ぶ前に、基本事項として「集合」と「写像(しゃぞう)」について解説します。
これらの概念は数学における基本中の基本なのでここでしっかり理解しておきましょう。
集合
はじめに集合について定義します。
集合と元
ものの集まりのことを集合という。そして集合を構成するものを元といい、元が集合
に含まれることを
と記述する。
例えば、
1,2,3
という数の集まりを集合といいます。
いま、1,2,3の集合をと置きます。
このことを
と表すことができます。
写像
集合間の関係を表すのに写像を使います。
例えば、
- リンゴ:100円
- みかん:80円
- スイカ:2000円
の場合は
リンゴ、みかん、スイカ
という集合を導入します。そして
集合A | |
集合B |
リンゴ | → | 100 |
みかん | → | 80 |
スイカ | → | 2000 |
という対応関係が写像となります。
つまり、写像とは以下の様な定義になります。
写像
写像とは、集合の各元に対して集合
の元を対応させる規則のことをいう。
写像が等しいとは
続いて写像が等しいことを定義します。
等しい写像
いま集合から集合
への写像が二つ
あったとする。
そして、集合のすべての元
に対して
となる場合、写像は等しいといい
とかく。
いま、集合
,
があり、それに対応した関数
,2で割った余り
,1なら1,2なら0,3なら1とする
があったとします。このとき、関数の対応関係は2で割った余りなので
「1なら1、2なら0、3なら1」
となります。これからわかるように関数と対応関係が同じです。よって、
となります。
合成写像
続いて合成写像の定義です。
合成写像
集合があり、
から
への写像
と、
から
への写像
があったとする。
このとき、の各元
に対して、
の元
を対応させた写像を
と
の合成写像という。
の合成写像を
もしくは
とかく。
例えば
の集合において
集合A | |
集合B |
1 | → | 0 |
2 | → | 1 |
3 | → | 0 |
集合B | |
集合C |
0 | → | 4 |
1 | → | 5 |
という写像があったとすれば、これらの合成写像は
集合A | |
集合C |
1 | → | 4 |
2 | → | 5 |
3 | → | 4 |
となります。
一対一対応
一対一対応
集合から
への写像
があったとする。
このとき、もしのすべての元と
のすべての元が一対一に対応するとき、
を集合
と
との一対一対応という。
例えば、
リンゴ、みかん、スイカ
という集合を導入します。そして
集合A | |
集合B |
リンゴ | → | 100 |
みかん | → | 80 |
スイカ | → | 2000 |
という写像を導入すれば、写像
は
と
との間の一対一対応となります。
変換
変換
集合から
自身への写像を
の変換という。
例えば、1次関数のように実数から実数への関数は変換となります。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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