2次元の行列式
カテゴリ:線形代数

2次元の行列式を説明します。
3次元、4次元とあるのですが、とりあえず2次元だけでもおさえておきましょう。
行列式
いきなりですが行列式を以下のように定義します。
行列式
行列
の行列式をと定義し、
とかく。また、
とした場合、とかく場合もある。
「なんでこうやって定義するの?」
と聞かれたら、このように定義すると何かと便利だからです(逆行列、クラメールの公式など)。もちろん
でもいいのですが、この値はあまり出てこない。出てこない値よりも出てくる値を定義したほうがいいですよね。この行列式はいわば「行列の絶対値」なのですが、負の数も取りうることに注意しましょう。
行列式に関する定理
いくつか行列式に関する定理を紹介します。
その1
その2
その3
その4
が線形独立
まともに証明するのは大変そうなので、対偶を証明しましょう。対偶は
「は線形従属」
です。これなら簡単に証明できそうです。まず、
を使って、と
が線形従属であることをいいます。すなわち、
となるの存在を示します。
はゼロベクトルではないので
が同時に0にはなりません。そこで、
としてはなしをすすめます。この場合
とすれば、
となるので、は線形従属です。
の場合も同様です。
次に逆を証明します。が線形従属なら
となる実数があります。よって
となります。
証明はしませんが、知っておくと便利なことを一つ。
はベクトル
がつくる平行四辺形の面積と等しいです。
これを使うと、ふたつのベクトルがつくる三角形の面積も簡単に計算できます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
@yasui_masatoさんをフォロー