単位行列
カテゴリ:線形代数

実数に1があるように、行列にも1があります。ここでは行列における1である単位行列について解説します。
単位行列
「1」という数は不思議な数で、実数に対して
が成り立ちます。つまり、1はいくらかけても値が変化しないのです。これと同じように
2☓2の行列に対して、掛け算しても変わらない行列
はあるでしょうか?
では、ちょっと考えてみましょう。まず、
という行列があったとします。両者をかけると
となります。これが変わらずにならないといけないので
となる必要があります。これが任意の実数で成り立つ必要があるので
が得られます。また、この行列の定義から
が成り立つことがわかります。よって、実数における1は行列ではとなり、これを単位行列と呼びます。ちなみに3次の単位行列は
となります。4次以降の同様に右下に1が並びます。つまり
単位行列
次元の単位行列
とは
である。
が単位行列の定義となります。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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