転置行列
カテゴリ:線形代数

行列の演算の一つに転置行列があります。転置行列の定義は簡単で「行列の列と行を入れ替えた行列」のことです。ここでは、この転置行列について学んでいきます。
転置行列とは
冒頭でも述べましたが、転置行列は簡単で「行と列を入れ替えた行列」のことです。ためしに、
の転置行列を求めてみましょう。といっても、行と列を入れ替えればいいだけなので
となります。転置行列の定義を以下に記載します。
転置行列
行と列をひっくり返した行列を転置行列といい、行列の転置行列を
と表す。
行列を転置する場合、先の例のように行列の右上にTをつけます。「tenchi」ではなく「transpose」のTです。まあ、どちらでもいいですが。
転置の公式
転置に関するいくつかの公式についてみていきます。
その1
試しに
で計算してみましょう。まず、を計算すると
となるので、転置処理すれば
が得られます。では、を計算すると
,
となるので、
となります。確かに、
が成り立っていますよね。
その2
、ここで
は実数です。
これも
で試してみましょう。
なので、
となります。
その3
転置して転置すればもとに戻りますよね。
その4
これは明らかでないので、頑張って証明します。
はじめに注意ですが、いちいち行列の形で書くのは面倒なので、行列の
行目、
列目の成分を
と書くことにします。こうすると表記が簡単になるので。では、証明をすすめます。まず、
とかけます。そして、これを転置するとがひっくり返るので
となります。ですからが成り立ちます。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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