逆行列
カテゴリ:線形代数

実数には逆元が存在します。この逆元と同様に行列にも逆元という考え方があります。それが、逆行列です。ここでは逆行列についての定義と求め方を解説します。
逆行列とは
0や1は特殊な数です。なぜなら
というように0はいくら足しても意味が無いし、1はいくらかけても意味がありません。こういう数を単位元といいます。つまり、足し算の単位元は0で掛け算の単位元は1です。そして、
というように、実数には演算したら単位元になる実数があります(0の掛け算は別です)。これを逆元といいます。の足し算における逆元は
で、掛け算における逆元は
となります。
以上のことを行列の掛け算で考えます。すると単位元は単位行列であることがわかります。実際に
となります。逆元も実数の積と同様に行列によっては存在します。つまり
のような行列が存在するケースがあり、
の逆元と呼びます。そして
とかきます。
逆行列が存在しない行列もあります。その例に一つがすべての値が0の行列です。
以下に逆行列の定義をまとめます。
逆行列
の逆行列とは
が成り立つ行列のことであり、
と表す。
では試しに逆行列を求めてみましょう。
の逆行列を求めよ。
とりあえず
とおいてかけると
なので、
となります。これを計算すると
が得られます。またこの行列は
が成り立ちます。よって
が成立するので
がの逆行列です。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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