線形部分空間
カテゴリ:線形代数

線形部分空間とは、線形空間の部分集合が線形空間になっている場合をいいます。
ここでは、線形部分空間を定義して、線型部分空間の例を見ていきます。
線形部分空間
上の線形空間
の部分集合
が同じ演算において
上の線形空間になるとき、
を
の線形部分空間といいます。
3次元ベクトルの集合を考えましょう。3次元ベクトルの集合は線形空間です。
2次元ベクトルの集合は、3次元ベクトルの部分集合です。
また、2次元ベクトルは線形空間です。
よって、2次元ベクトルの集合は3次元ベクトル集合の線形部分空間となります。
線形部分空間
線形空間の部分集合
が線形部分空間となるには
で必要十分です。
この定理を使えば、線形部分空間であることを簡単に証明できます。
とても便利な定理です。
まず、が
の線形部分空間なら、
は線形空間なので、
が成り立ちます。
次に、が線形空間
の部分集合とし
が成り立つ場合を考えます。ベクトルの結合法則や交換法則、スカラー倍の法則は、が線形空間
の部分集合であることから成り立ちます。
ですから、零ベクトルと逆ベクトルの存在を言えば、は線形空間であることを証明できます。
零ベクトルの存在は
を利用します。そして、が零ベクトルであることを証明します。
が零ベクトルであることは任意の
に対して
からわかります。
次に、逆ベクトルの存在をいいます。では、の逆ベクトルの存在を証明します。そのために
を利用し、が
の逆ベクトルであることを示します。
では零ベクトルなので
が
の逆ベクトルであることが示されました。
以上で証明終了です。
部分線形空間を証明する際は、この定理を活用しましょう。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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