日本の人口減少問題を考える
カテゴリ:確率・統計学

日本の人口が減ってきているということが最近問題になってきています。
とくに日本の場合は、若者がお年寄りを支える構造になっているので、
- 人口を減少させない
- 自分自身が若いうちに将来のために備える制度にする
のどちらかが必要です。ここでは、前者により人口減少を抑える方法について考察します。
考察の前に、人口データをRで解析することで、人口減少の原因を推測します。(とういうかこれが目的です)
まず、以下が日本の人口データです。統計局からデータを得ています。
エクセルデータ:zinkou
では、エクセルデータをタブ区切りでエクスポートして、Rで
A<-read.table(“zinkou.dat”,header=TRUE)
として読み取ります。
まず、数値データだと分かりにくいので、グラフに出力します。
plot(A[1:11])
すると以下のようになります。
このグラフから、
総人口、男、女、日本人に正の相関がある
ことがわかります。実際に相関係数を
cor.test
と求めると
- 総人口と男:0.9995
- 総人口と女:0.999568
- 総人口と日本人:0.9997267
が得られます。当たり前のことですが、以上のことは
- 日本にいる男性と女性の割合は同じ(半々)
- 日本に占める人種はほとんど日本人
という結論でよさそうです。以上のことから、男、女、日本人のデータは削除します。
A<-A[,-2:-5]
次にほとんど日本人で移民が少ないと考えられるので、
総人口の変化=出生数-死亡数
となるはずです。そのために総人口の変化を計算します。まず、行列の大きさを得るには
nrow(A)
を使います。これで、行列の列の個数49が得られます。幅を得たい場合は
ncol(A)
とします。あとはfor文でループして、前後差を計算していきます。はじめに行列を定義します。
HENKA<-matrix(0,nrow=nrow(A)-1,ncol=2)
この行列HENKAに総人口の変化と出生数と死亡数の差を入れていきます。
for(i in 1:nrow(HENKA)){
HENKA[i,1]<-c(A[i+1,2]-A[i,2])
HENKA[i,2]<-c(A[i,3]-A[i,4])
}
これでHENKAという変数に出力したいデータが入ったのでプロットしてみます。
plot(HENKA)
確かに、
総人口の変化=出生数-死亡数
が成り立つことがわかります。このことから、日本では日本から出ていく人も少ないし、移民として入ってくる人も少ないことがわかります。
総人口の変化は出生数と死亡数で算出できるので総人口もデータから削除します。
A<-A[,-2]
あと気になるのが、出生数と死産数の関係です。
ふつうに考えたら、出生数が増えれば死産数も増えるはずです。
しかし、死産数が120以上では、出生数が減っています。
ちなみに、死産数が120以上は1970年以前のデータとなります。
このことから、
1970年以前は、子供が死産しやすかった
と予想できます。実際に、年次別に死産数/出生数をプロットすると
plot(A$年次,A$死産数/A$出生数)
が得られます。たしかに、年を減るたびに減少しています。乳児死亡数と死産数は正の相関があるので同様です。よって、これらの項目を削除しておきます。
では、婚姻数や離婚数を見ていきます。
plot(A[1:5])
見てみると、出生数と婚姻数に正の相関があることがわかります。よって、
結婚すると子供を産む
ということがわかります。それと、傾きが2つあるように見えます。そこで、出生数/婚姻数を年次ごとにみると
plot(A$年次,A$出生数/A$婚姻数)
が得られます。見てわかる通り、1990年あたりから急激に減少しています。
1990年はバブル崩壊と重なります。よって
経済状況が悪くなると子供を産まなくなる
ということがいえますね。
まとめ
他にも解析を進めればわかることがあると思いますが、この辺でまとめておきます。
- 日本はほとんど日本人で占めている
- 男女比はほぼ一定
- 日本の総人口=出生数-死亡数が成り立つ(移民や日本人の海外移転が少ない)
- 医療が発達しており死産しにくくなった
- 経済状況が悪いと子供を産みたくなくなる
ほとんど当たり前のことですね。
では、どうしたら日本の人口を増やせるでしょうか?当たり前ですが、方法は以下の4つしかありません。
- 移民を増やす
- 日本人の海外流出を防ぐ
- 出生数を増やす
- 死亡数を減らす
このうち、4は医療が発展しないと難しいので政策として考えなくてもいいでしょう。
3に関しては、婚姻数と出生数は正の相関があるので、婚姻数を増やすような政策をとります。また、経済状況によって出生数が変わるので、景気を良くするか子供にかかる経済的負担を減らすのも一つのてでしょう。
2に関しては、無理やり日本人を海外へ住めなくすればいいでしょうが、まず国民が反対するので無理でしょう。
1に関しては、日本人には日本人が多いことから、ほとんど移民はいないことがわかります。よって、年間の移民受け入れ数を増やすのは人口増加のために非常に効果的でしょう。よって、移民が住みやすい環境にすることが重要となります。
著者:安井 真人(やすい まさと)
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